321号(令和2年8月16日) 1ページ
最終更新日:2020年8月16日
角兵衛獅子 歴史をひもとき未来へつなぐ
月潟を本拠とし、
問い合わせ 月潟出張所 電話:025-372-6905
角兵衛獅子はどのようにして始まった?
角兵衛獅子の由来は、大きく2つの説があります。
1.水害対策説 農民だった角兵衛が、水害で疲弊する村に新たな収入源をもたらそうと、踊りを考案して子どもたちと巡業したというもの。
2.親のあだ討ち説 常陸(現・茨城県)から月潟村に移り住んだ角兵衛が何者かに殺され、その時に犯人の足をかみ切った。足の指のない犯人を探し出すため、全国を回ったというもの。
江戸時代に大ヒット
逆立ちやブリッジ、宙返りなどのアクロバティックな200種類を超えた多彩な技で江戸時代の半ばに全国各地で評判になりました。技の中に「名古屋城の金のしゃちほこの形」「大井川の川越しの形」「神田明神の山車(だし)太鼓にニワトリの形」など全国の風物を取り入れたのも、人気を集めた理由でした。江戸時代後期には、約200人の子どもが獅子舞をしていたといわれています。
毎年6月24日には角兵衛地蔵尊祭りがあり、各地で旅をしている一行も必ず帰郷し、獅子舞を奉納しました。大勢の人が見物に訪れ大変にぎやかだったといわれています。
学校制度が始まり衰退
明治時代になると義務教育制度が始まり、子どもの労働が禁止されました。そういった時代の流れに伴い、子どもたちが獅子舞をする姿は全く見られなくなりました。
復活への道のり
伝統ある郷土芸能が滅んでしまったことを惜しむ人々が角兵衛獅子保存会を立ち上げ、昭和11年に復活公演を行いました。この時演じたのは、以前とは違い料亭の芸妓たちでした。
昭和34年に月潟小学校の児童13人が稽古に参加。経験者の記憶や伝承、資料などにより演目を再構築して、新しい角兵衛獅子がスタートしました。
現在の角兵衛獅子と少子化の波
平成25年に保存会の活動が認められ、市無形民俗文化財に指定されました。平成27年には、太鼓と笛のはやし方も復活し演奏者として大人も参加するようになりました。
現在では毎週土曜の夜に2時間、型や技などを練習しています。勉学や部活動などにも励みながら、小学生から高校生になるまで数年間にわたって活動しています。
しかし、近年の少子化に伴い、舞い手の数が減ってきています。将来にわたり保存会を継続していくためにどのようにしたらよいか検討が始まっています。
主な衣装を紹介
獅子頭(ししがしら)
雄獅子と雌獅子があります。福島県二本松市で作製され、ニワトリの羽などの装飾は保存会で付けています。全て手作りのオリジナル品なので、子どもたちの頭や体の大きさに合うものを選んでいます。
雄獅子
雌獅子
幕(まく)
獅子頭に付いている赤い布のことで、獅子の動きをダイナミックに表現するために使います。
裁着袴(たっつけばかま)
膝から下を細く仕立てたはかま。動きやすいため、江戸中期から武士が旅行や訓練などに用いていました。
胸当(むなあて)
卍マークは角兵衛地蔵の印。子どもたちを守ってもらうよう願をかけています。また、曲芸中胸元が乱れない役割もあります。
現役の皆さんにインタビュー
角兵衛獅子の技は、習得するまでに大変時間がかかり、すぐに舞台に立てるものではありません。ブリッジから自力で起き上がるには2年から3年かかるともいわれています。
来年の舞台を目指し練習に励んでいる
左:櫻井さん 左から3番目:北さん
Q1 練習を始めたのは何歳?
舞台に立てたのはいつ頃?
櫻井さん 小学3年から始めて披露するようになったのは5年です。
北さん 姉と兄が先に始めていたので、小さい頃から練習に来ていました。舞台で披露するようになったのは、小学5年からです。
Q2 技をするのは怖くなかった?
櫻井さん 最初の頃は怖かったです。
北さん 最初はしっかりと支えてもらっていたので、あまり怖くはなかったです。
Q3 難しいと思う技は?
櫻井さん 人馬と唐子人形お馬乗りの2つです。
北さん 大きい水車がまだ習得できていません。もっと練習したいです。
唐子人形お馬乗り
人馬
水車(大)
Q4 新型コロナウイルスの影響で練習が休みになった期間、どうしていた?
櫻井さん 体が硬くならないよう柔軟体操をしていました。
北さん ストレッチやブリッジの練習をしていました。
Q5 市の無形民俗文化財である角兵衛獅子を演じることについてどう思う?
櫻井さん 大勢の人に見てもらい、喜んでもらえたらうれしいです。
北さん 失敗しないように気を付けています。技が決まるたびに大きな拍手をもらえることがうれしいです。
Q6 今後の角兵衛獅子はどうあってほしい?
櫻井さん 自分たちがやってきたと同じように、これからも伝統をつないでいってほしいです。
北さん もっとたくさんの子が参加して盛り上げてほしいです。