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351号(令和3年11月21日) 1ページ

最終更新日:2021年11月21日

フランスからやって来た黄色い貴婦人♪

芳醇な香りと独特な柔らかい食感のル レクチエ。
その美味しさの陰には、この味を「皆さんに知ってもらいたい。」という
強い気持ちと、努力がありました。

ル レクチエの写真

明治35(1902)年、茨曽根地区の農家・小池左右吉(こいけさゆうきち)さんがロシアのウラジオストクに旅行した際、西洋ナシに出会いました。その味にすっかり魅了され、栽培を決意。原産地フランスから34品種の苗木を取り寄せて栽培を始めましたが、その中の一つがル レクチエでした。
いざ栽培をしてみると日本ナシとは異なり花芽をつけることが難しく、病気や風による落果なども多く、収量が安定しませんでした。長い間、各農家は自家用として1本ほど植えている程度でした。しかし、わずかに収穫できたその実がとても美味しいことから、商品化に再挑戦するため1981(昭和56)年、栽培農家の有志たち14人が「白根市洋梨研究会」を設立。試行錯誤を繰り返し、安定生産に向けた栽培技術の確立や組織的な販売を開始することができるようになりました。

「ル レクチエ発祥の地」の碑の写真 「ル レクチエ発祥の地」の碑

平成元年度に新潟市の保存樹に指定された古木の写真 平成元年度に保存樹として
指定された古木

今年のル レクチエ解禁日(プリムール)は11月19日!!今年も先人たちの苦心の賜物“黄色い果実”を味わえる季節がやってきました。

ポイントは追熟♪

ル レクチエは、木になったままではいくら待っても美味しくならないので、緑色のうちに収穫します。もぎたての実は硬くて酸っぱいですが、「追熟」という管理によって美味しく完熟した実になります。
追熟とは、木から離れた実が「呼吸」することによって、蓄えられていたでんぷんが糖に変わっていく過程のこと。追熟のカギになるのが、ル レクチエ自身から放出される「エチレンガス」です。エチレンガスに触れることで、ル レクチエ本来の軟らかさや甘み、芳醇な香りと美しい黄色が生み出されます。

1 収穫直後

袋が掛かったル レクチエがなっている木の写真 
緑色の熟していない実の写真凧っこ13人衆・本新蝶が右人差し指を立てているイラスト

2 追熟中

コンテナに入った袋が掛かったままのル レクチエの写真

凧っこ13人衆・弁慶が差し棒を持ち説明をしているイラスト

冷蔵庫に積み上げられたコンテナの写真 冷蔵庫で予冷(低温)処理中

貯蔵庫内に積み上げられたコンテナの写真 常温で追熟中

凧っこ13人衆・弁慶が差し棒を持ち説明をしているイラスト

3 食べごろを迎えた黄色い実

食べごろになった3つのル レクチエの写真

凧っこ13人衆・大高が大きなルレ クチエの上で満足そうに頬杖を付いているイラスト

名前の由来

17世紀にフランス宮廷で執事の仕事をしていたル レクチエさんは果樹園芸家としても有名でした。1882年に「バートレット」と「フォルチュネ」という品種を交配してできあがった品種にこの執事ル レクチエさんの名前が付いたといわれています。

凧っこ13人衆・一心太助が説明しているイラスト

しろね果樹部会
西洋梨専門部 部長 
本間 克則さん しろね果樹部会
西洋梨専門部 部長 
本間 克則さん

今年のル レクチエは小さ目ですが、ジューシーで良い味となっています。
この季節にしか味わえない、芳醇な香りと上品な甘さのル レクチエをぜひ食べてください。

こぼれ話
理由はズバリ!「食文化の違い」

現在原産国フランスでは、ル レクチエは栽培されていません。
フランスではナシは収穫後すぐ調理して食べるのが習慣でした。そのため、甘みも香りもないまま食べることになり、「美味しく食べられないもの」と判断されてしまいました。
美味しく食べるために時間を掛け、「追熟させてから食べる」というこだわりは日本人ならではのようです。

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