新潟市読書バリアフリー推進計画 新潟市 令和6年4月 目次 第1章 計画の策定にあたって 1 計画の背景 ………………………………………………………3ページ 2 計画の趣旨 ………………………………………………………3ページ 3 視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題………4ページ 4 計画の位置づけ…………………………………………………………4ページ 5 計画の対象………………………………………………………………5ページ 6 計画期間と推進体制……………………………………………………5ページ (1)計画期間 (2)推進体制 第2章 新潟市の現状と課題 1 視覚障がい者等への支援………………………………………………6ページ 2 新潟市の今後の課題……………………………………………………8ページ 第3章 施策の方向性と取り組み…………………………………………10ページ 〈方向性1〉 視覚障がい者等による図書館の利用に係る体制の整備等  (読書バリアフリー法第9条関係) 〈方向性2〉 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化  (読書バリアフリー法第10条関係) 〈方向性3〉 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援  (読書バリアフリー法第11条関係) 〈方向性4〉 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援  (読書バリアフリー法第14条・第15条関係) 〈方向性5〉 製作人材・図書館サービス人材の育成等  (読書バリアフリー法第17条関係) 第4章 計画の進捗管理……………………………………………………14ページ 用語集…………………………………………………………………………16ページ 新潟市では、「障害」の「害」の字が持つマイナスイメージから、障がいのある人へ配慮し、原則としてひらがなで表記することとしています。ただし、法律名や固有名詞などは、漢字で表記しています。この計画では、法律・国の計画等、団体名では「障害」と表記をし、それ以外では「障がい」と表記します。 (3ページ) 第1章 計画の策定にあたって 1 計画の背景  近年、障がい者の権利擁護に向けた取り組みが国際的に進展し、我が国においても、すべての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けた取り組みを進めるため、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)をはじめとする様々な国内法制度が整備され、平成26年には、国連の「障害者の権利に関する条約」を批准しました。同条約は、「障害の社会モデル」※1の考え方を示しつつ、締約国に対して、障がい者があらゆる形態の意思疎通によって表現及び意見の自由についての権利を行使できるようにすること、障がい者の生涯学習の機会を確保すること、障がい者が利用しやすい様式を通じて、文化的な作品を享受する機会を確保することなどを求めています。  平成30年の第196回通常国会においては、「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」の締結の承認とともに、「著作権法」(昭和45年法律第48号)の改正が行われましたが、国会での法改正審議の際、衆議院・参議院の両委員会において、「視覚障害者等の読書の機会の充実を図るためには、本法と併せて、…(略)…当該視覚障害者等のためのインターネット上も含めた図書館サービス等の提供体制の強化、アクセシブルな電子書籍の販売等の促進その他の環境整備も重要であることに鑑み、その推進の在り方について検討を加え、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。」との附帯決議がなされています。 2 計画の趣旨  令和元年6月21日、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書バリアフリー法」という)が成立し、同年6月28日に公布・施行されました。この法律は、「障害者の権利に関する条約」や「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)の理念にのっとって、視覚障がい者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進することにより、障がいの有無にかかわらずすべての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。  読書バリアフリー法第5条では、「地方公共団体は、第3条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」、また同第8条においては、「地方公共団体は、(国の)基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない」として、地方公共団体における計画の策定を求めています。  そこで、本市の基本的な方向性を示すとともに、視覚障がい者等の読書環境の整備(読書バリアフリー)の取り組みを推進するため、本計画を策定します。 (4ページ) 3 視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題  読書は、乳幼児・青少年期、成人期、高齢期の一生涯にわたって、個人の学びや成長を支えるものであり、教養や娯楽を得る手段のみならず、教育や就労を支える重要な活動です。特に、学校教育段階においては、教科書以外にも、副読本、参考書、資料集、学術論文等が、学習や教育・研究に関連する活動の支えとなります。また、中等教育機関、高等教育機関及び職業教育機関への選抜試験の受験、進学や、資格取得のほか、就職活動、職業生活等の人生のあらゆる段階において、書籍を通じて専門的知識を得ることが不可欠です。  しかし、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等はいまだ少なく、障がいの有無にかかわらず文字・活字文化を等しく恵沢できる状況とはなっていないため、関係機関が連携し、視覚障がい者等の読書環境を整備する必要があります。 4 計画の位置づけ  本計画は、「新潟市総合計画2030」「新潟市教育ビジョン」「新潟市立図書館ビジョン」「新潟市子ども読書活動推進計画」「新潟市障がい福祉計画」など、関連計画等との整合性を図りながら、読書バリアフリー法第8条に基づき、障がいの有無にかかわらず、市民がひとしく読書に親しんだり、情報を得たりすることができる環境整備の推進について定めるものです。  また、視覚障がい者等の読書環境整備は、障がいのある人の社会参加や共生社会の実現に寄与するものであり、SDGs※2の目標達成に貢献します。 〈関連するゴール〉 4 質の高い教育をみんなに 10 人や国の不平等をなくそう 16 平和と公正をすべての人に (5ページ) 5 計画の対象  本計画は、視覚障がい、発達障がい、肢体不自由その他の障がいにより、読書(活字によって表現された書籍を読むこと)が難しい人、寝たきりや上肢に障がいがある等の理由により書籍を持つことやページをめくることが難しい人(「視覚障がい者等」という)を対象とします。障がい者手帳所持の有無は問いません。  なお、読書環境の整備に当たっては、視覚障がい者等以外の、読書や図書館の利用に困難を伴う人への配慮にも留意します。  また、乳幼児期から高齢期までの各ライフステージにおいて必要とされる様々な種類の書籍を考慮しつつ取り組んでいきます。なお、「書籍」には、雑誌、新聞その他の刊行物も含みます。 6 計画期間と推進体制 (1)計画期間  本計画の期間は、令和6年度から令和10年度の5年間とします。 (2)推進体制  本計画策定にあたっては、策定有識者会議を開催し、視覚障がい者等や関係者、関係機関の意見を反映しました。  本計画に基づき、関係団体、ボランティア等と連携・協働し、視覚障がい者等の読書バリアフリーを実現するための施策を推進します。推進する過程では、視覚障がい者等や関係者、関係機関の声を積極的に取り入れていきます。  また、本計画や支援施策の周知を図るため、市の公式ホームページや、図書館ホームページ、SNS等で情報発信を行います。周知にあたっては、わかりやすい内容となるよう工夫するとともに、点字※3版や音声読み上げに対応したテキストデータ※4版の作成に努め、関係機関と連携して、広く周知を図ります。 (6ページ) 第2章 新潟市の現状と課題 1 視覚障がい者等への支援 本市には、1,960人(令和5年3月31日時点)の視覚障がい者(身体障害者手帳保持者)がいます。このほか、病気や加齢による視力の低下などにより読書が困難な人や、上肢障がい、寝たきり、知的障がい、学習障がいなどのために文字や絵を認識することや本のページをめくることが難しい人にも支援が必要です。  新潟県は、大正8年(1919年)7月、明治記念新潟県立図書館(現:新潟県立図書館)に盲人閲覧室を設置し、公立図書館での障がい者サービスを全国でもいち早く開始しました。また、本市では昭和57年(1982年)5月に、障がい者や来館できない人の読書支援のため、舟江図書館で図書の郵送貸出を開始しました。この制度は、「すべての市民のための図書館」を目指し、図書館への来館が難しい人を対象に行うもので、県内では初めての取り組みでした。  現在は、視覚障がい者等を支援するために、次の取り組みを行っています。 サービス、内容の順に記す。 【市立図書館】 サービス  視覚障がい者等が利用しやすい書籍(以下「アクセシブルな書籍※5」という)の提供 内容  大活字本※6や点字図書※7、LLブック※8等の貸出。大活字本コーナーやLLブックコーナーの設置。 サービス  視覚障がい者等が利用しやすい電子書籍(以下「アクセシブルな電子書籍等※9」という)の提供 内容  録音図書(活字図書を音声により読み上げた図書。音訳図書ともいう)の貸出。 利用者からの希望を受け、全国で製作されていないものや個人資料等を、私的利用目的に限りデイジー※10形式で製作。  「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」※11からのダウンロードによるデータ提供。 サービス  アクセシブルな書籍等の情報提供 内容  視覚障がい者等への録音図書リスト提供(墨字※12版・音声版)。 サービス  在宅障がい者等図書サービス 内容  舟江図書館の郵送貸出から名称変更して継続。障がいや寝たきりなどにより、図書館へ来館が難しい人向けの宅配便等による資料の貸出。新着図書リストや録音図書リスト、個別の要望に応じたテーマのリストなどの提供。 サービス  活字読書支援サービス 内容  アクセシブルな電子書籍等の提供と対面朗読※13を実施。 (7ページ) サービス  読書支援機器※14設置、提供 内容  録音室※15、対面朗読室※16、拡大読書器※17の設置。音声デイジー再生機の貸出。 サービス  障がい者サービスを提供する職員の育成 内容  職員向けの障がい者サービス研修の実施。 サービス  音訳※18ボランティアの養成 内容  対面朗読等協力者の養成講座やステップアップ講座の実施。 サービス  にいがた市電子図書館 内容  令和4年3月に開始した電子書籍※19コンテンツの提供。一部は、音声読み上げ、文字拡大、色反転が可能だが、データのダウンロードは不可。 【市立学校】 サービス  特別支援学校※20への学校司書の配置と取り組み 内容  特別支援学校における一人ひとりに合わせた読書活動の支援や、読書環境整備の推進を目的とし、特別支援学校へ学校司書の配置(平成29年4月)。  中央図書館と特別支援学校の年一回の連絡会による関係課・機関との情報共有。  教員や学校司書が特定電子書籍※21を製作し、読書活動や授業で活用。  読書の環境整備、蔵書の充実(書籍に加え、アクセシブルな書籍・電子書籍等も収集整備)を継続。 サービス  学校図書館への支援 内容  学校図書館支援センター※22が、学校司書を対象に、特別な支援を必要とする児童生徒の理解と支援に関する研修を実施。  読みやすさに配慮した本のリストを図書館ホームページで公開。アクセシブルな書籍・電子書籍等及び読書補助具の紹介。 サービス  学校図書館の環境整備 内容  UD(ユニバーサル・デザイン)の視点を取り入れた、見やすい配架や表示の工夫。 サービス デイジー教科書※23の提供 内容  通常の教科書を読むことが困難な児童生徒のために、教育委員会が公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会に申請し提供。 サービス  院内学級※24への電子書籍紹介 内容  院内学級担当者から児童生徒への電子書籍の紹介。 サービス  電子書籍の利用 内容  学校の全児童生徒及び教職員へ図書館の電子書籍を利用できるIDを配付し、読みづらさを抱える児童生徒の読書を支援。 (8ページ) 【その他】 サービス  障がい者福祉センター事業 内容  視覚障がい者生活訓練(パソコン、点字講座等)を通じた当事者の自立や社会参加の促進、点訳※25講習会の実施、点訳ボランティアの養成。 サービス  新潟市障がい者ICTサポートセンター※26の設置 内容  ICT機器の紹介、貸出・利用に係る相談、病院や学校等での支援機器の研修会などの実施。 サービス  日常生活用具給付等事業※27 内容  視覚障がい者用読書器※28、点字器※29、点字ディスプレイ※30、点字タイプライター※31などの給付。 サービス 点字・音声による広報 内容  「市報にいがた」や暮らしに関する配布物の点字版、音声版、デイジー版の製作と希望者への送付、公共施設への配付。 2 新潟市の今後の課題 (1)アクセシブルな書籍・電子書籍等について  アクセシブルな書籍・電子書籍等は、一般書籍に比べて発行タイトル数が少ない上に、小説など文芸書の割合が多く、学習用図書や専門書、図鑑、絵画集、写真集などは極めて少ないため、図書館で所蔵しているアクセシブルな書籍・電子書籍等も偏りがあります。  また、令和3年度に電子書籍を導入しましたが、アクセシブルというにはまだ十分とはいえません。読み上げ機能や文字拡大機能、色反転機能があるものの、視覚障がい者等が使いやすくなるためには、キー操作やボタン操作ですべての操作ができること、スムーズなログイン・蔵書検索ができることなど、提供事業者によるさらなる改善が待たれます。  学校図書館でも、アクセシブルな書籍・電子書籍等の蔵書数は、十分な蔵書数とはいえず、児童生徒の障がいの種類・程度に応じたアクセシブルな書籍・電子書籍等の整備が必要です。 (2)製作人材の確保について  アクセシブルな書籍・電子書籍等の製作に協力する人材や指導者の確保が難しく、今後の継続的な提供体制に課題があります。 (9ページ) (3)職員や教職員の資質向上について  職員や教職員の中で、読書バリアフリーの理解や本市の取り組みの情報共有が不十分なため、サービスを必要とする人への案内がスムーズにできていない場合があります。読書バリアフリーの取り組みを効果的に推進するためには、職員や教職員の資質向上が必要です。 (4)読書バリアフリーに関する情報発信について  図書館では、活字による読書が困難な人への読書支援サービスを充実させ、支援を必要とする人や、支援者への周知に注力しています。しかし、読書バリアフリーに対する市民の認知度が十分ではないため、さらなる情報発信が必要です。  また学校においても、読みづらさを抱える児童生徒や保護者、教職員へ、アクセシブルな書籍・電子書籍等の有用性や読書支援の方法を広めていく必要があります。 (10ページ) 第3章 施策の方向性と取り組み  読書は生涯にわたって個人の学びや成長を支えるものです。障がいの有無にかかわらず、すべての市民が文字・活字文化の恵沢を享受できる社会を目指すために、次の5つの方向性を定め計画を推進します。 〈方向性1〉 視覚障がい者等による図書館の利用に係る体制の整備等 (読書バリアフリー法第9条関係) 【基本的な考え方】  市立図書館や市立学校の学校図書館のアクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡大を図ります。また、視覚障がい者等の個別の要望には、「新潟市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」(平成27年10月1日条例第49号)に基づく合理的配慮※32を行います。これらの実現のために、新潟県立図書館、新潟県視覚障害者情報センター、市内の各大学図書館と積極的に連携します。 (1)アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実 ○点字図書や録音図書、LLブック、拡大図書※33、デイジー図書※34などのアクセシブルな書籍・電子書籍等を充実させます。 ○電子書籍の選定では、音声読み上げ、文字拡大等のバリアフリー機能に対応したコンテンツの充実に努めるとともに、電子書籍提供事業者へ機能の充実を求めていきます。 (2)円滑な利用のための支援の充実 ○視覚障がい者等が円滑に読書支援サービスを受けられるように、図書館ホームページの改善、広報や聞き取りのための訪問活動などに力を入れ、読書バリアフリーに関する広報・情報提供を充実させます。 ○図書館において、利用者のニーズに応じて、書籍等のテキストデータ化や対面朗読等を実施します。 ○ブックスタート事業※35において、障がいのある乳児や保護者にも効果的な働きかけを行うための環境を整備します。 (11ページ) ○「りんごの棚」※36を設置し、特別な配慮を必要とする子どもを対象に、アクセシブルな書籍の提供を行います。 ○図書館及び学校図書館において、各館の特性や利用者のニーズに応じ、アクセシブルな書籍の設置・拡充や、拡大読書器、リーディングトラッカー※37などの読書支援機器の整備をします。また、ピクトグラム※38やUDフォント※39を使ったわかりやすい表示の普及や施設のバリアフリー化に努めます。 ○インクルーシブ教育システム※40の理念にのっとり、視覚障がい等のある児童生徒が在籍する教育機関において読書環境を保障することが重要であり、次の取り組みを推進します。 ①新潟県立図書館及び新潟県視覚障害者情報センターとの連携を図り、リーフレット配付による広報や読書支援機器等の体験会などを通して、視覚障がい等のある児童生徒を支援する取り組みを進めます。 ②学校に対し、視覚障がい等のある児童生徒が生涯学習の場である図書館の利用について学ぶ機会を設けることの重要性及び具体的な利用方法について周知します。 〈方向性2〉 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 (読書バリアフリー法第10条関係) 【基本的な考え方】  国立国会図書館、新潟県立図書館、新潟県視覚障害者情報センター及び特定電子書籍等の製作者の間の連携強化を図り、インターネットを利用したサービスの提供体制を整備することで、アクセシブルな書籍等の提供に努めます。 ○「みなサーチ」※41及び「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」からのダウンロードによるデータ提供を継続するとともに、「サピエ図書館」※42に登録し、視覚障がい者等がアクセシブルな書籍・電子書籍等を円滑に利用できるようにします。また、関係機関・団体等と連携して、これらのサービスの周知を図ります。 ○オンライン会議システムを用いて、視覚障がい者等が自宅で対面朗読を受けられることを広報し、対面朗読の利用促進に努めます。また関係機関と連携し、接続支援にも対応します。 (12ページ) 〈方向性3〉 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 (読書バリアフリー法第11条関係) 【基本的な考え方】  特定書籍※43・特定電子書籍等の製作支援のため、製作に係る基準の作成等、質の向上を図るための支援を行います。 ○特定書籍・特定電子書籍の充実及び質の向上を図るため、図書館職員やボランティアが研修する機会を設けます。 ○特定書籍・特定電子書籍の製作を効率的に行うため、関係機関と連携し、製作のノウハウや、製作された書籍等に関する情報共有を行います。 〈方向性4〉 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援 (読書バリアフリー法第14条・第15条関係) 【基本的な考え方】  拡大読書器等の設置や、アクセシブルな書籍・電子書籍等や情報を取得するための情報通信技術の習得支援など、来館者・非来館者向けの両面から視覚障がい者等の読書環境の充実を図ります。 ○読書バリアフリーを周知・啓発する企画展示などを行い、アクセシブルな書籍・電子書籍等や、それらを利用するための端末機器等の体験機会を設けます。 ○新潟市障がい者ICTサポートセンターによるICT機器の利用支援・情報提供、機器の体験・貸出などを通じて、障がい者等及びその家族の情報通信技術の利用機会の拡大や活用能力の向上を図ります。 ○市立学校において、読むことが困難な児童生徒の情報活用能力の育成を図るために、読むための環境を整え、学習活動の充実を図る必要性や方策を、教職員向け研修会等で周知します。 ○眼科のかかりつけ医などの身近な医療機関や、治療用眼鏡等を扱う販売店等を通じて、視覚障がい者等を対象とした読書支援サービスについての情報提供を行います。 (13ページ) 〈方向性5〉 製作人材・図書館サービス人材の育成等 (読書バリアフリー法第17条関係) 【基本的な考え方】  市立図書館、市立学校の学校図書館、新潟県視覚障害者情報センターなどが連携し、特定書籍・特定電子書籍等の製作及びアクセシブルな書籍等の利用支援を行える人材の確保と育成に努めます。 (1)図書館の職員、教職員等の資質向上 ○図書館の職員、図書館主任・学校司書をはじめとするすべての教職員、ボランティア等を対象に障がい者サービスに関する内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、読書支援機器等の使用方法に習熟するための体験機会などを設け、資質の向上を図ります。 (2)音訳者・点訳者等の人材の養成 ○音訳、点訳に携わる人材の確保のため、音訳ボランティア等の養成講座やスキルアップ講座を実施するなど、計画的な人材育成に取り組みます。 (14ページ) 第4章 計画の進捗管理  各施策について、下表のとおり具体的な成果指標を設定し、毎年、計画の進捗状況を新潟市立図書館協議会で報告するとともに、図書館ホームページで公表します。 指標、項目、現状値(令和4年度末)、中間目標値(令和7年度末)、目標値(令和9年度末)の順に記す。 指標 アクセシブルな書籍・電子書籍等の所蔵点数〈方向性1〉 ○大活字本 現状値(令和4年度末)13,820冊 中間目標値(令和7年度末)14,270冊 目標値(令和9年度末)14,570冊 ○録音図書 現状値(令和4年度末)457点 中間目標値(令和7年度末)470点 目標値(令和9年度末)480点 ○電子書籍の中で、音声読み上げに対応する資料の割合 現状値(令和4年度末)41% 中間目標値(令和7年度末)46% 目標値(令和9年度末)50% 指標 「りんごの棚」によるアクセシブルな書籍の環境整備〈方向性1、4〉 ○コーナーを設置している図書館の数 現状値(令和4年度末)0館  中間目標値(令和7年度末)8館 目標値(令和9年度末)8館 指標 在宅障がい者等図書サービスの登録者数・貸出点数〈方向性1〉 ○有効登録者数 現状値(令和4年度末)101人 中間目標値(令和7年度末)125人 目標値(令和9年度末)141人 ○年間貸出点数(電子書籍含む) 現状値(令和4年度末)3,139点 中間目標値(令和7年度末)3,859点 目標値(令和9年度末)4,339点 指標 活字読書支援サービスの登録者数〈方向性1〉 ○有効登録者数 現状値(令和4年度末)42人 中間目標値(令和7年度末)80人 目標値(令和9年度末)110人 指標 図書館職員の読書バリアフリーに関する研修会〈方向性5〉 ○中央図書館が行う職員向け研修ののべ受講者数(累計) 現状値(令和4年度末)0人 中間目標値(令和7年度末)65人 目標値(令和9年度末)130人 指標 教職員の読書バリアフリーに関する研修会〈方向性5〉 ○学校図書館支援センターが行う教職員向け研修ののべ受講者数(累計) 現状値(令和4年度末)0人 中間目標値(令和7年度末)166人 目標値(令和9年度末)332人 指標 対面朗読等協力者(音訳ボランティア)の数〈方向性3、5〉 ○登録者数 現状値(令和4年度末)18人 中間目標値(令和7年度末)23人 目標値(令和9年度末)25人 (15ページ) 指標 対面朗読の年間実施回数(オンライン含む)〈方向性1、2〉 ○年間実施回数 現状値(令和4年度末)38回 中間目標値(令和7年度末)50回 目標値(令和9年度末)62回 指標 点訳講習会の受講者数〈方向性3、5〉 ○点訳講習会の受講者数 現状値(令和4年度末)23人 中間目標値(令和7年度末)25人 目標値(令和9年度末)25人 (16ページ) 用語集 番号、用語、この計画における意味の順に記す。 1 障害の社会モデル  「障害者の権利に関する条約」で示された考え方。障がいは個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、という考え方。 2 SDGs  持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の略で、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。 3 点字  視覚障がい者が指で文字を読んだり書いたりするために使う文字。6つの点を組み合わせて、文字や記号、数字、アルファベットを表す。 4 テキストデータ  墨字で書かれた文字をパソコンで扱えるようにした電磁的な文字データ。テキストデータのうち、文字を装飾する色・大きさ・フォント・レイアウト情報などを含まない純粋な文字データのことを「プレーンテキスト」と呼ぶ。プレーンテキストは、機器による音声読み上げや、点訳の元データとして活用しやすいデータ形式である。 5 アクセシブルな書籍  「アクセシブル」とは、利用しやすいさまをいい、「アクセシブルな書籍」とは、読書バリアフリー法第2条第2項にある「視覚障害者等が利用しやすい書籍」のことで、様々な種類がある。 例:点字図書、拡大図書、触る絵本、布の絵本、LLブック。 6 大活字本  視覚障がい者等や高齢者向けに、大きな活字と読みやすいフォントで印刷された図書。通常は出版された図書を指すが、拡大写本等も含めた文字の大きな図書全般を指すこともある。 7 点字図書  点字で記された図書。 8 LLブック  「LL」とはスウェーデン語の「Lattlast」(わかりやすくて読みやすい)」の略。(「Lattlast」の表記は、正しくは2つの「a」の上にウムラウト記号が付く) わかりやすく書かれていて読みやすい本のこと。やさしい日本語による文章、文章の意味理解を助けるピクトグラム(後述※38を参照)などを用いることが特徴。主な読者として、知的障がい者や外国にルーツのある人が想定される。必ずしも子ども向けではなく、生活年齢にあったテーマをわかりやすく伝えることが意図されている。 (17ページ) 9 アクセシブルな電子書籍等  読書バリアフリー法第2条第3項にある「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」のことで、様々な種類がある。 例:音声読み上げ対応の電子書籍、オーディオブック、デイジー図書、テキストデータなど、電子計算機等を利用して視覚障がい者等がその内容を容易に認識できることができる電子書籍。 10 デイジー(DAISY)  「Digital Accessible Information System」の略で、日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳す。視覚障がい者、高齢者、発達障がい者、知的障がい者及び聴覚障がい者など、印刷された出版物を読むことが困難な人のためのアクセシブルな電子書籍の国際標準規格。 11 国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス  国立国会図書館が製作・収集した視覚障がい者等用データ(デイジー形式データ、点字データ等)を、視覚障がい者等や図書館等にインターネット経由で送信するサービス。 12 墨字  紙に書かれた文字のこと。「点字」に対して、印刷または手書きの文字のことをいう。 13 対面朗読  対面朗読室などで、音訳者が利用者の読みたい本や雑誌を対面で読むサービス。本市では、中央図書館及び中心図書館(豊栄・亀田・新津・白根・坂井輪・西川)で実施。 14 読書支援機器  拡大読書器、書籍の自動読み上げ機、デイジー再生機、点字ディスプレイなどが挙げられる。広い意味では、ルーペ、書見台(しょけんだい)、リーディングトラッカーなども含まれる。 15 録音室  文字や文章を音声化するための部屋。本市では、中央図書館に1室ある。 (18ページ) 16 対面朗読室  対面朗読をするための部屋。本市では、中央図書館に2室ある。 17 拡大読書器  カメラで撮影した文字や画像を拡大して表示することにより、読書を支援する機器。 18 音訳  書かれた文字を音声化すること。音声訳ともいう。 19 電子書籍  電磁的に記録され、電子端末機器を用いて読めるようにした書籍。動画や音声が再生可能なものもある。 20 特別支援学校  学校教育法第72条に定められている、視覚・聴覚・知的障がい者、肢体不自由者または病弱者(身体虚弱者を含む。)のための学校。 21 特定電子書籍  著作権法第37条第2項または第3項本文の規定により製作されるアクセシブルな電子書籍。著作権法第37条では、視覚障がい者等のための書籍の複製等を著作権者等の許諾なく行うことを認めている。 22 学校図書館支援センター  中央図書館に設置した、学校図書館支援を担当するグループ。学校や教育委員会内の関係課・機関と連携し、全市立学校を対象に、学校図書館訪問や研修、宅配による団体貸出、学習用貸出セットの整備などを行っている。 23 デイジー教科書  通常の教科書と同様のテキスト、画像を使用したマルチメディアデイジー形式の教科書。 24 院内学級  入院中の学校教育の空白を補い、学習の遅れを最小限度にとどめると共に、安心して治療に励み、病気を克服していけるように病院内に開設した学級。本市では、新潟市民病院、新潟大学医歯学総合病院、新潟県立がんセンター新潟病院の3か所に学級を設置。 25 点訳  書かれた文字を点字にすること。 26 新潟市障がい者ICTサポートセンター  ICT機器活用・サービス利用を通して障がいのある人の暮らしを豊かにし、活躍の場を広げることを目的として、ICT機器の紹介、貸出・利用に係る相談、病院や学校等での支援機器の研修会などを行う拠点。 27 日常生活用具給付等事業  市町村において、障がい者、障がい児、難病患者等を対象に、日常生活がより円滑に行われるための用具を給付する事業。申請窓口は市町村で、申請者は市町村による給付等の決定後、給付等を受ける。 (19ページ) 28 視覚障がい者用読書器  タッチパネルやボタンで操作する、据置型や携帯型の拡大読書器。文字読み取り認識機能で読み込んだものを画面で見るタイプや、音声で読み上げるタイプなどがある。色反転やアンダーラインを引く機能がついたものもある。 29 点字器  点字を一点一点打って書く用具。点字用紙1枚分の点字盤のほか、携帯用点字器もある。 30 点字ディスプレイ  点字を機械的に表示する装置。パソコンの操作画面に表示された文字を点字に置き換えることで、視覚障がい者が情報を読み取ることができる。また、単体で点字データを読み取ることもできる。ピンディスプレイともいう。 31 点字タイプライター  点字を一文字ずつタイプして書く機器。 32 「新潟市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」に基づく合理的配慮  「新潟市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」の第2条(4)では、合理的配慮について次のように定められている。 次のアからウに掲げる場合において、障がいのある人の人格、人権及び意向を尊重し、障がいのある人の性別、年齢、障がいの状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な変更及び調整を行うことであって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。 ア 障がいのある人が社会的障壁の除去を求めている場合 イ 障がいのある人が意思の表明を行うことが困難であって、その保護者、保護者以外の家族その他の当該障がいのある人を支援する者が、その障がいのある人のために社会的障壁の除去を求めている場合 ウ 障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって、そのことを認識しうるとき。 33 拡大図書  視力が低下した人や、高齢者などにも読みやすいように、文字の大きさや行間等を調整し、大きな活字で組み直した「大活字本」や、既存の本を読みやすい大きな文字に書き直して作られた「拡大写本」のこと。 (20ページ) 34 デイジー図書  専用再生機、パソコン、タブレット、スマートフォンなどを利用して読みたいページに移動したり、スピードや文字の大きさ・色・背景色などを変更して読むことができる。音声デイジー、テキストデイジー、マルチメディアデイジーの3つの種類の図書がある。 35 ブックスタート事業  赤ちゃんと保護者が絵本の読み聞かせを通じて心ふれあう時間を体験し、絵本を手渡す取り組み。本市では、1歳児対象の歯科健診で実施。 36 りんごの棚  すべての子どもに読書の喜びを体験してもらう場所として、スウェーデンの図書館でスタートした取り組み。紙に印刷された資料だけでなく、さまざまな形態の資料や読書を支援するための道具を一つの場所に集めて紹介することで、子どもが自分に適した資料に出会える手助けをする。子ども向けの本ばかりでなく、大人向けに子どもをサポートするためのさまざまな障がいに関する資料やサービスの情報も提供する。 37 リーディングトラッカー  読みやすいように資料の特定の行に焦点を当てるための読書補助具。ディスレクシア(全般的な知的発達は正常で学習意欲があるにも関わらず、文字の読み書きに限定した困難を有する疾患)や高齢者などの利用ニーズも高い。 38 ピクトグラム  情報や指示、案内などを、単純化された絵や図形で表したもの。 39 UDフォント  ユニバーサルデザインフォント。多くの人にわかりやすく、読みやすいように工夫されたフォント。 40 インクルーシブ教育システム  人間の多様性の尊重等を強化し、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、 自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障がいのある人と障がいのない人が共に学ぶ仕組みのこと。 41 みなサーチ  2024年1月に本稼働した、国立国会図書館の新しい障がい者用資料の検索サービス。全国のアクセシブルな書籍・電子書籍等を探すことができる。 (21ページ) 42 サピエ図書館  視覚障がい者等のための総合情報ネットワークサービス。全国の点字図書館等が製作・所蔵する点字や録音資料等の書誌情報とそのデータ等を収録するオンライン図書館。 43 特定書籍  著作権法第37条第1項または第3項本文の規定により製作されるアクセシブルな書籍。著作権法第37条では、視覚障がい者等のための書籍の複製等を著作権者等の許諾なく行うことを認めている。