(1-1-7)建築基準法42条2項道路内にある塀について除却を命ずるよう求める
最終更新日:2019年12月4日
(1-1-7)建築基準法42条2項道路内にある塀について除却を命ずるよう求める
令和元年10月9日 苦情申立受理
申立ての趣旨
A区B町にある建築基準法第42条第2項道路内に存在する」構築物(塀)について、敷地の所有者及び工事監理者に対して、建築基準法第9条に基づき除却を命ずるよう求める。
申立ての理由
1 建築基準法第42条第2項道路指定
A区B町2050番地1の地目は「公衆用道路」とされ、市より建築基準法第42条第2項の道路指定がなされている。(以下「本件道路」という。)
申立人は、同区B町2051番2、同2050番3及び2050番5の地上に居宅を所有し、本件道路を使用しているものである。
2 A区B町2050番8所在の敷地及び地上建物は、C氏が所有するものであるが、平成13年7月に新築したとの保存登記を行い、当該建築に際してF指定確認検査機関により建築確認(平成13年2月1日)と完了検査(平成13年8月3日)が行われているものである。
上記2の建築確認の際には、道路反対側境界から4mの幅をみなし道路として「建築物後退」(いわゆるセットバック)をさせることが建築の条件とされていた。前記建築確認申請によれば、既存道路幅は2.25mであり、1.75m後退することを条件として建築確認を得ている。
ところが、現在、同氏の敷地には、本件道路にブロック塀が設置されたままである。このブロック塀は、上記みなし道路内に建設してあり、前記建築条件に違反し、結果的に建築基準法第44条第1項本文の「建築物又は敷地を構成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。」との法令に違反しているものである。
3 特定行政庁 新潟市長への処分等の求め申出
建築基準法、都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、緊急時の緊急車両の出入りの確保等、国民の生命、健康及び財産の保護を図るために最低限の基準を設定しているものである。
建築基準法上の特定行政庁は、同法第9条に基づき、当該建築物の建築主、工事の請負人等に対して是正措置を命ずることができるとされ、これは、公法上の義務に属するものである。
申立人は、平成29年9月14日付けで特定行政庁である新潟市長に対して、行政手続法第36条の3並びに新潟市行政手続条例第36条の規定により「処分等の求め申出書」を担当課に提出し、同日、受領された。
4 特定行政庁 新潟市長の職務懈怠
建築基準法は、都市計画区域内では、建築物について幅員4m以上の道路への接道を義務付けており、都市計画区域内に指定された時点でこれを満たさない道路についても、いわゆる「みなし道路」として接道義務を尽くしているものと認めるが、当該道路に接する建物を新築する場合等には、4mの幅員を確保させるため、いわゆるセットバックを建築の条件としている。
本件前記建物は、これらの条件を前提として建築が許可されているにもかかわらず、それを遵守せずに、みなし道路上にブロック塀を放置しているものである。
然るに、「処分等の求め申出書」を受領後2年以上経過するに至っても是正されることなく、現場は依然として、前述のまま放置されている。
これは公務員として、その任務を著しく懈怠するものであり、その旨の意見を発出されることを求めるものである。
尚、本件申立てに係り、念のため次の事項を申し添える。
(1) 本件建築確認と完了検査は民間機関により行われているが、「指定確認検査機関の事務は市が責任を負う」と最高裁が決定している。[事件番号 平成16年(行フ7号) 事件名 訴えの変更許可に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成17年6月24日]
(2) 本件道路中心線について
本件道路は、鍵の手の袋路状道路で、道路に接面する5軒で共有する私道である。底地は旧地番が2050番と2051番であったが、現在は6軒に分割され、1軒は本件道路に面せず、市道のみに面している。
本件道路南側対向地は、旧地番が2049番で、3軒に分割され、本件道路を利用することを要していない。このことから、旧2049番に対向する中心線は、対向境界から2mで確定するものである。このことは、平成22年10月18日付け 新建第431号の2 文書名「A区B町2050番地7地先の法42条2項道路の資料」でも確認できる。
(3) 改定版新潟市建築行政マネジメント計画では、
「2 具体の取組内容 4 違反建築物等への対策の徹底 市民の生命、健康及び財産を保護するため、関係機関と連携し、違反建築物を把握するとともに、違反建築物対策を計画的かつ強力に推進する」
としている。
所管部署
建築部建築行政課(以下「所管課」という。)
調査の結果
令和元年12月2日 決定
所管課に非があるとは認められない。
調査結果の理由
当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、聞き取りを行った。
所管課においては、建築基準法に基づく「建築基準法違反取締り事務手続きフロー」が作成されており、本件についてもこれに従って手続きを進めている。
所管課では、申立人からの通報を受け、すぐに現地を確認するとともに、所有者からのヒアリングの実施、記録の確認等による調査を行っている。
調査により、
・申立人が土地分譲を受けた昭和43年当時、既にブロック塀が存在していたこと
・平成13年に建物が建て替えられたが、その際にブロック塀は撤去されるべきであったこと
・建築計画概要書にはブロック塀の記載がなかったためか、建物建替え後も撤去されないまま残ったこと
等が判明したが、当時の完了検査資料については保存期間経過により廃棄されていたため、経緯・事情等の詳細は不明である。
いずれにせよ、現状の当該ブロック塀は、建築基準法に違反する建築物であることは明らかである。
そこで、所管課では、平成30年5月、所有者に対して、「除却を要するものであり、早急に是正するよう」指導を行い、その後も改善が見られないため、平成31年3月、再び所有者に対して指導を行っていることが確認された。
したがって、所管課が事態を放置しているものとは認められない。
違反建築物に対する指導にあたり、本件では、当該道路の幅員は2.25mではあるが、歩行通行には支障がないこと、防火避難関係規程の違反ではないこと、第三者への重大な生活利益の侵害まで生じていないこと等から、今のところ是正措置命令(建築基準法第9条第1項)には至らないものと判断していることが認められた。
以上のことから、所管課の対応が、申立人の指摘する「公務員として、その任務を著しく懈怠するもの」とは認められない。
よって、調査結果のとおり判断する。
なお、所管課においては、当該ブロック塀の除却、是正に向けて指導を続けてもらいたい。
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