市報にいがた 令和4年11月20日 2779号 2面・3面
最終更新日:2022年11月20日
広げよう 子どもの気持ちを考えた子育て
11月は「児童虐待防止推進月間」「新潟市子どもの権利推進月間」です。子どもが健やかに成長できるよう、この機会に子どもとの関わり方について考えてみませんか。また、虐待を防ぐには周囲の支えが必要です。みんなで子育て世帯を見守りましょう。
問い合わせ こども政策課(電話:025-226-1195)
- 目標 1:貧困をなくそう
- 目標 2:飢餓をゼロに
- 目標 3:すべての人に健康と福祉を
- 目標 4:質の高い教育をみんなに
- 目標 5:ジェンダー平等を実現しよう
- 目標 8:働きがいも 経済成長も
- 目標 10:人や国の不平等をなくそう
- 目標 16:平和と公正をすべての人に
子どもにこんなことしていませんか?
言葉で注意しても言うことを聞かないので、頭をたたいた
「お前なんて生まれてこなければよかった」など、子どもの存在を否定するようなことを言った
宿題をしなかったので、食事を与えなかった
専門家に聞きました
NPO法人 子ども・人権ネットCAP(キャップ)・にいがた
事務局長 太田 美津子 さん
虐待は体罰だけではない
児童虐待は、主に4つの種類に分類されます(下図)。虐待と聞くと、殴る、蹴るなどの暴力的な行為を思い浮かべる人が多いと思いますが、子どもの前で暴言を伴う夫婦げんかをするなど、子どもの心を傷つける行為なども虐待に当たります。
虐待による影響
虐待は、暴力を受けたことや食事を与えられなかったことによる成長不全などの身体的影響、学校に通えず十分な学力が得られないなどの知的発達面への影響、幼少期の心理的トラウマで人間関係の構築が難しくなるなどの心理的影響を子どもに及ぼします。
中でも、心への影響は特に深刻です。虐待を受けている子どもは暴力や暴言によるコミュニケーションしか知らない場合が多く、友達などにも同じような接し方をしたり、「この人は信頼できる人なのか」という不安からわざと大人を怒らせる行動をしたりします。また、親を愛する気持ちから「自分が悪いからたたかれるんだ」と考えてしまうこともあり、自己肯定感が低い場合が多いです。
しつけと体罰は違う
「何度言っても言うことを聞かないから、つい手が出てしまう」「自分もたたかれて育った」など、子どもへの暴力を「しつけ」として正当化する人もいるかもしれません。
しかし、子どもの体に苦痛を引き起こし意図的に不快感をもたらす行為は、どんなに軽いものでも体罰に該当し、法律で禁止されています。また、体罰以外の虐待も子どもの人権を侵害するものであり、どのような理由があっても決して許されるものではありません。
ストレスを抱え込まないで
子育てにストレスは付きものです。時には自分の時間を作ってリフレッシュしましょう。イライラしたときは「深呼吸をする」「ゆっくり6秒数える」など、自分に合った落ち着き方を見つけることもストレスと上手く付き合うこつです。
悩みがあるときは、周囲の人や窓口に相談してください。解決方法が見つかるかもしれません。心の負担が軽くなると子どもとしっかり向き合うことができ、子どもの健やかな成長につながると思います。
虐待の種類
身体的虐待
殴る、蹴る、たたく、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、異物を飲ませる、家の外に閉め出す、意図的に病気にさせるなど
心理的虐待
言葉で脅す、無視する、拒否的な態度を取る、ほかのきょうだいと差別的な扱いをする、目の前で暴言を伴う夫婦げんかをするなど
性的虐待
子どもへの性交や性的行為、子どもの性器を触る、子どもに性器を触らせる、性交を見せる、わいせつな画像の被写体にするなど
ネグレクト(育児放棄)
衣・食・住の世話が極端に不適切、健康への配慮を怠る、同居人や家族による虐待を放置する、子どもの意思に反して登校させないなど
子どもとの関わり方 工夫のポイント
参考:厚生労働省「体罰等によらない子育てのために」
POINT 1 子どもの気持ちや考えに耳を傾ける
子どもは「自分の気持ちや考えを相手に受け止めてもらえた」という体験によって、気持ちが落ち着いたり、「大切にされている」と感じたりします。
POINT 2 「言うことを聞かない」ときは理由を考える
保護者の気を引きたい、言われていることを理解できていない、体調が悪いなど、さまざまな理由が考えられます。一呼吸置いて、子どもと向き合いましょう。
POINT 3 子どもの成長に合わせた対応を
年齢や成長・発達の状況によって、できることとできないことがあります。子どもが困難を抱えているときは、それに応じたケアを考えて対応しましょう。
POINT 4 子どもの状況に応じて、身の周りの環境を整える
危ない物に触れないようにするなど、叱らずに済む環境づくりを心掛けましょう。子どもが自分でできるような環境をつくることも大切です。
POINT 5 注意の方向を変えたり、子どものやる気に働きかけたりする
子どもはすぐに気持ちを切り替えることが難しい場合があります。可能な限り待つ、場面を切り替える、楽しく取り組めるように工夫するなど、子どものやる気が増す方法を考えましょう。
POINT 6 肯定文で分かりやすく、時には一緒に、お手本に
「ここでは歩いてね」など、肯定文で具体的に、近づいて落ち着いた声で伝えてみましょう。「一緒におもちゃを片付けよう」と共に行動するのも効果的です。
POINT 7 良いこと、できていることを具体的に褒める
態度や行動を褒められることは子どもにとってうれしいだけでなく、自己肯定感を育みます。結果だけでなく頑張りを認め、今できていることに注目して褒めましょう。
「子どもを安心させる」
「子どもを肯定する」
「子どもに選ばせる」
ことを意識しましょう。
みんなで救おう 気付いて! 虐待のサイン
周囲の人の気付きで、苦しんでいる子どもや保護者を救うことができます。虐待現場を発見した場合だけでなく、「様子がおかしい」「虐待かも」と思ったら、すぐに相談してください。
子どもの様子
- 泣き叫ぶ声がいつも聞こえる
- 不自然な傷や打撲の痕がある
- 衣類や体がいつも汚れている
- 夜遅くまで一人で家の外にいる など
保護者の様子
- 怒鳴り声がいつも聞こえる
- 地域と交流が少なく孤立している
- 子育てに拒否的・無関心である
- 子育てに強い不安や悩みを抱えている など
一人で抱え込まず、まずは相談を
区役所では専門の相談員が相談に応じます。小さなことでも、まずは相談してください。
区役所健康福祉課
北区 電話:025-387-1625
東区 電話:025-250-2331
中央区 電話:025-223-7236
江南区 電話:025-382-4353
秋葉区 電話:0250-25-5683
南区 電話:025-372-6371
西区 電話:025-264-7343
西蒲区 電話:0256-72-8369
児童相談所
虐待対応ダイヤル
電話:189(いちはやく)(通話料無料)
相談専用ダイヤル
電話:0120-189-783(いちはやく おなやみを)(通話料無料)
新潟市児童相談所
電話:025-230-7777
そのほか
子育てなんでも相談センター「きらきら」
月曜から金曜午前8時半から午後5時
電話:025-248-2220