下水道使用の手びき

最終更新日:2024年7月1日

はじめに

 新潟市は、信濃川・阿賀野川をはじめとした水辺の自然環境に恵まれた、田園と共生する都市として大きく発展しています。
 下水道は、生活排水や工場・事業場排水を下水処理場できれいな水にして川や海へ流しています。また、快適な都市環境のためにも欠かせない施設であることから、新潟市では下水道整備に積極的に取り組んでいます。そして、清らかな水辺を守り、実り豊かな環境を次世代へ引き継いでいこうと考えています。
 しかし、下水道は、どんな汚水も浄化できるわけではありません。工場・事業場排水に有害物などが含まれていると、下水道施設を傷めたり、下水処理場の浄化能力を低下させたりします。その結果、川や海を汚してしまうことにもつながります。
 これを防ぐために、下水道法や新潟市下水道条例などでルールが定められています。
 この「下水道使用の手びき」は、工場・事業場の皆さまが下水道を使用される場合の、いろいろなルールを説明したものです。

下水を排除する場合のきまり

 下水道へは、どんなものでも流せるわけではありません。
 例えば、酸性の強い下水は、下水管のコンクリートを腐食させます。重金属やシアンなどの有害物及び酸・アルカリ類を含む下水は、下水処理場で下水を処理する微生物の働きを弱め、処理能力を低下させます。また、油脂類をはじめとする高濃度の有機物浮遊物は、下水管を詰まらせたり、下水処理にかかる負担を大きくします。
 このほか重金属類は処理場から発生する汚泥に濃縮・蓄積されるので、汚泥を埋め立て処分したり再利用するのが難しくなります。
 このような種々の障害を防止し、下水道施設の働きをいつも正常に保つため、下水道法及び新潟市下水道条例では、下水排除基準を定めています。
 工場・事業場は、この排除基準を超える水質の下水を流すことはできません。排除基準を超える恐れのある下水は、汚水処理施設(除害施設)を設置するなど、何らかの対策をしてから下水道に流さなければなりません。
 これらの工場・事業場のうち、法律で定められている特定事業場及び除害施設の設置を必要とする工場・事業場に対しては、下水道法(以下「法」という。)及び新潟市下水道条例(以下「条例」という。)によって届出が義務づけられています。
 以上のほかに、自社の下水の水質を測定する義務や除害施設等の維持管理状況について報告しなければならないなどのきまりがあります。

特定施設と特定事業場

 特定施設とは、人の健康及び生活環境に対し、被害を及ぼす恐れのある物質を含んだ汚水を排出する施設であって、水質汚濁防止法施行令およびダイオキシン類対策特別措置法施行令で定められたものをいいます。別表1の一覧表をご覧ください。
 また、この特定施設を設置している工場・事業場を特定事業場といいます。
 工場・事業場が特定事業場であるかどうかによって、届出の種類、水質測定の義務、罰則などが異なります。特定事業場は、一般の事業場(非特定事業場)に比べて、重い義務と責任があります。

除害施設

 除害施設とは、悪質下水を下水排除基準内の水質まで処理する施設をいいます。
 特定事業場に該当しない一般の事業場でも、排水の水質が基準に合わなければ、除害施設を設置しなくてはなりません。

下水排除基準

 工場・事業場からの排水に対しては、排除基準が定められています。
 具体的な排除基準は別表2のとおり、次のように二つに分けられています。

(1)除害施設設置基準(法第12条、法第12条の11、条例第11条)

 継続して公共下水道を使用する工場・事業場の全てを対象としています。下水の水質がこの基準を超える場合は、除害施設の設置をしなければなりません。基準を超えた場合、直ちに処罰されることはありませんが、監督処分(法第38条第1項)の対象となり、その処分に従わなかったときには処罰されます。(法第46条)

(2)直罰基準(法第12条の2、条例第10条)

 この基準は特定事業場に適用され、この基準を超えた場合、直ちに処罰されることがあります。(法46条の2)
 なお、カドミウム・シアンなどの有害物質(処理困難物質)については、排水量に関係なく、それ以外の項目については、排水量1日50立方メートル以上の工場・事業場が対象となります。

排除基準を超えないようにするには


 排水の水質が基準値を超えないようにするためには、まず次のことについて検討してみてください。
ア 製造方法、工程等を工夫する。
イ 薬品、原材料の使用方法を工夫する。また、これらの使用量を削減する。
ウ 廃液を回収し、処理業者へ処理を委託する。
 これらの方法によっても排除基準を超える場合は、汚水処理施設(除害施設)を設置しなければなりません。

届出の義務

 工場・事業場の皆さまは、下水道を使用する場合、いろいろな届出が必要です。届出を怠ると、重い罰則が課せられることもあります。届出もれのないよう、じゅうぶん注意してください。
 なお、届出関係の様式(届出様式(書式)一覧)は以下のリンクよりダウンロードできます。

届出・連絡先

下水道管理センター 施設管理課 水質係
電話:025-281-9204

下水道に接続する際の注意

 下水の排除方式には分流式(雨水、汚水を別々の下水管で流すもの)と合流式(雨水、汚水を同一の下水管で流すもの)があります。地域によって異なりますので、接続の際にはじゅうぶん注意してください。
 また、直罰基準値(下水排除基準の青色部分)が適用される特定事業場については、排水が常時採水できる特定汚水ます(蓋に「特定汚水」と表示)を新潟市が公道上に設置します。

水質の測定義務と報告義務

(1)水質の測定義務(法第12条の12、条例第14条)

 特定施設又は除害施設を設置された工場・事業場の皆さまは、次のような方法で水質を測定し、その結果を記録し、保存しておかなければなりません。
ア 下水道法では、特定事業場の水質測定回数について、次のように定めています。

  • 温度、水素イオン濃度(pH)については1日に1回以上
  • 生物化学的酸素要求量(BOD)については14日に1回以上
  • ダイオキシン類については1年に1回以上
  • その他の項目については7日に1回以上

  ただし、新潟市では、水質の測定回数については、次表に示す回数を行うよう指導しています。

測定項目と測定回数の表
測定項目区分 1日の排水量の区分
10立方メートル未満 10~50立方メートル 50立方メートル以上
処理困難物質 6か月に1回以上 3か月に1回以上 1か月に1回以上
処理可能項目 1年に1回以上 6か月に1回以上 3か月に1回以上

(注釈)測定項目区分については、下水排除基準(別表2)を参照してください。
(注釈2)ダイオキシン類については上の表にかかわらず1年に1回以上とします。
(注釈3)排除基準の設定があり、排出の恐れがある項目を測定することとします。


イ 測定方法は、下水の水質の検定方法に関する省令に定められた方法で行ってください。
ウ 測定のための試料は、測定する下水の水質が最も悪いと推定される時刻に、水深の中層部から採取してください。
エ 試料の採取は、排水口ごとに、下水道に流入する直前で行ってください。
オ 測定結果は、所定の水質記録表に記録し、5年間保存してください。

(2)報告義務(法第39条の2、条例第15条)

 次のいずれかに該当する工場・事業場は、下水道を適正に管理するため、事業場の状況、除害施設又は下水の水質等について、新潟市に報告していただく場合があります。
ア 特定事業場
イ 使用開始等の届出を必要とする水質の下水を排除する事業場
ウ 除害施設を設置している一般の事業場

水質管理責任者制度

 特定施設又は除害施設を設置された工場・事業場の皆さまが、これらの施設を適正に管理し、排除基準を順守されるよう、水質管理責任者制度があります。
 特定施設又は除害施設を設置された工場・事業場の皆さまは、水質管理責任者を選任し、水質管理責任者の選任(変更)届を提出してください。(条例第12条)
水質管理責任者は、次のような業務を行います。(条例施行規則第12条)

  1. 特定施設の使用方法、汚水の発生量及び水質の適正な管理に関すること。
  2. 除害施設の維持管理及び運転管理に関すること。
  3. 特定施設及び除害施設の届出に関すること。
  4. 下水道に排除する下水の量及び水質を測定し、それを記録すること。
  5. 除害施設から発生する汚泥の処理・処分に関すること。
  6. 施設の事故時及び緊急時の措置に関すること。

立入検査・改善命令

(1)立入検査(法第13条)

 新潟市では、公共下水道の機能保全及び下水処理場からの放流水の水質を適正に保つために、随時、工場・事業場への立入検査を実施しています。その際、特定施設、除害施設、汚水の処理方法などについて調査をしたり、必要に応じて、採水分析も行っています。

(2)改善命令

ア 直罰基準が適用される特定事業場については、立入検査時などに、基準に適合しない下水を排除する恐れがあると認めた場合には、特定施設の構造・使用の方法などの改善や下水排除の停止などの命令を行うことがあります。(法第37条の2)
イ 除害施設設置基準が適用される工場・事業場については、立入検査時などに基準に適合しない下水を排除するなど下水道法令に違反した場合には、それを是正するのに必要な措置をとるよう命令をすることがあります。これを監督処分といいます。(法38条第1項)
ウ ア、イいずれの場合も、これに従わない場合は、罰則(懲役又は罰金)が適用されます。(法第46条)
エ ア、イ以外にも、改善等の指導は、口頭、注意書、警告書などで、必要に応じて行います。

水質事故発生時の報告義務

 近年、下水道にシアン等の有害物質や油を含む下水が流入する事故が頻繁に発生しており、公共用水域へそれらが流出することを防止するために、事故発生時における措置の充実を図ることを目的として特定事業場の使用者に次のことが義務付けられました。

(1)事故発生時の届出

 特定事業場の使用者は、事故が発生して、有害物質や油を含む下水を公共下水道に流してしまった場合、公共下水道管理者(新潟市長)に直ちに事故概要を連絡し、安全の確保や被害拡大の防止の為の応急の措置を迅速に講じなければなりません。
事故届出書・事故再発防止措置計画届出書・事故再発防止措置完了届出書の提出

 事故が発生した場合は、事故概要を下水道管理センターに直ちに連絡してください。
 →水質事故時連絡票による通報

(2)応急措置命令

 適切な応急措置が講じられていない場合は、公共下水道管理者が応急の措置を講ずることを命令できます。この命令に違反した場合は、罰則が適用されます。

事故とは

 火災の発生、停電などによる除害施設等の機能停止・貯蔵タンクや配管等の破損・操作ミスなどによって有害物質又は油を含む下水が公共下水道に流入する事態をいいます。自然災害による場合も含めます。

届出の対象となる有害物質および油の種類

 事故時の措置において届出の対象となる物質は、水質汚濁防止法およびダイオキシン類対策特別措置法に規定する有害物質および油です。

事故時の措置において届出の対象となる物質
水質汚濁防止法施行令第2条各号に掲げる28種類の物質及びダイオキシン類
カドミウム及びその化合物 ジクロロメタン チオベンカルブ
シアン化合物 四塩化炭素 ベンゼン
有機燐化合物 1,2‐ジクロロエタン セレン及びその化合物
鉛及びその化合物 1,1‐ジクロロエチレン ほう素及びその化合物
六価クロム化合物 1,2-ジクロロエチレン ふっ素及びその化合物
砒素及びその化合物 1,1,1-トリクロロエタン アンモニア・アンモニウム化合物、
亜硝酸化合物及び硝酸化合物
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 1,1,2-トリクロロエタン

塩化ビニルモノマー

ポリ塩化ビフェニル 1,3-ジクロロプロペン 1,4-ジオキサン
トリクロロエチレン チウラム ダイオキシン類
テトラクロロエチレン シマジン  
水質汚濁防止法施行令第3条の4各号に掲げる7種類の油
原油 ・重油 ・潤滑油 ・軽油 ・灯油 ・揮発油 ・動植物油

PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader DC

このページの作成担当

下水道管理センター 施設管理課

〒950-1146 新潟市中央区太右エ門新田1422番地3
電話:025-281-9200 FAX:025-284-5849

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで

サブナビゲーションここから

注目情報

    サブナビゲーションここまで