建築確認申請指摘事例集(構造)
最終更新日:2012年6月1日
以下に示す質疑事例は、建築確認申請時の法適合審査において、特に注意すべき事項及び主な質疑事項を取りまとめたものです。
なお、実際の建築確認申請時には、これら以外にも多数の質疑事例があり、また建築計画に応じた判断
もありえることから、あくまでも申請図書作成における参考としていただきますようお願いいたします。
印刷用の「建築確認申請における構造審査質疑事例集」はこちらへ(PDF:96KB)
1.申請図書全般
(1) 申請書、意匠図、構造図、構造計算書等の相互間に記載されている内容に不整合がある。
(2) 構造設計図書に構造設計一級建築士の記名捺印がない。(下記の場合)
建築基準法第20条第一号又は第二号に掲げる建築物について、設計を行った場合又は法適合確認を行った場合。
(3) 構造設計一級建築士関与義務がある建物の設備(基礎)の設計において、構造設計一級建築士 の関与がない。
構造設計一級建築士の関与義務がある建物の場合、設備の設計に関しても構造設計一級建築士の関与義務があります。(令129条の2の4)設備図面の中で、構造が関わる部分については、構造設計一級建築士の関与を図面中に明示して下さい。
(4) 追加説明書の作成において、質疑事項や構造計算書との関係性が分かりにくい。
建築確認申請時に当課より発行します質疑事項表の訂正内容欄に、訂正内容、対応方法及び追加説明書の対象ページ等を記入してください。追加説明書についても、質疑番号や構造計算書の対象ページを記載して、質疑事項表及び構造計算書との関連性を明示していただくとともに、インデックスやマーカー等の使用により、分かりやすい書類づくりを心掛けていただきますようお願いいたします。
2.図面関係
(1) 図面に明記されている使用材料の仕様が、構造計算書と不整合となっている。
(2) EXP・Jで接続する建築物がある場合、EXP・Jの位置及び建物間の寸法が明記されていない。
(3) 片持ち部材の出寸法が明記されていない。(梁、床、庇、折板屋根はね出し部等)
(4) 合成スラブの仕様及び敷き方向が明記されていない。
・設計施工標準図の添付。デッキプレートの仕様、スラブ厚、焼抜き栓溶接ピッチ算出根拠等明記。
・伏図に敷き方向を明示。
(5) 屋根ふき材の明記がされていない。
(6) 部材の天端レベルが明示されていない。
(7) 壁の構造スリットが明記されていない。(位置、仕様)
(8) 鉄骨階段及びその受材の詳細が明示されていない。
(9) 鉄骨造の胴縁材及び開口補強材の明示がない。
(10) 部材接合部の詳細図が不足している。
(11) ターンバックル付きブレースを使用する場合、JIS製品であることの明記がない。
(12) 鉄骨詳細図上で、水平ブレースの位置の明示がない。
フランジ面にGPLが取付いていないか確認。フランジに取付いている場合、その梁の捩れ応力などに問題のないことを明示してください。
(13) ボーリング柱状図から設計GLと調査GLの関係性が読み取れない。また調査位置が不明。
(14) 杭頭補強筋のかぶり厚さが確保できていない。
(15) 地盤改良の仕様が明記されていない。
地盤改良の種類、改良深さ、設計基準強度、固化材添加量等
3.計算書関係
3-1 全般・概要等
(1) 安全証明書が委託者へ提出した写しになっていない。(印はコピーとなる)
(2) 構造計算書に通しページの記載がない。
(3) 構造計算チェックリストが添付されていない。
(4) EXP・Jにて複数棟接続された建築物が「一の建築物」に該当する場合、適用計算ルートが不適切。
EXP・Jにて構造的に別棟の建築物が複数棟接続されており、それらの建築物が「一の建築物」扱いとなる場合、いずれか一つの棟は「一の建築物」として必要な計算ルートを適用する必要があります。また、単体では法第6条第四号に該当する棟についても、「一の建築物」として構造計算が必要な規模となる場合は、その棟についても少なくとも令第81条第3項の計算は必要となります。
3-2 荷重・外力
(1) 固定荷重算定表中の部材仕様が、図面と不整合となっている。
(2) 床の積載荷重を実況に応じて設定した場合、その根拠が明示されていない。
(3) 教室、百貨店、劇場、映画館等に接続する廊下の積載荷重を適切に採用していない。
(例)教室等に接続する廊下の積載荷重は、令第85条第1項(7)より、同項(5)の値を用いる。
床 | 大梁 | 地震 | |
---|---|---|---|
積載荷重(N/mm2) | 3500 | 3200 | 2100 |
(4) 特殊荷重や二次部材検討時の荷重について、算出漏れ及び算出根拠が明示されていない。
(5) 土間コンクリートと基礎梁との接続状況に応じ、基礎梁等へ土間荷重の負担を考慮していない。
(6) 積載荷重の電算入力値と、室の使用状況との整合がとれていない。
(7) 積雪の電算入力を、積雪荷重としてではなく積載荷重で入力している。
3-3 二次部材・別途計算等
(1) 二次部材の検討位置が明示されていない。
(2) 一貫構造計算プログラムとは別に検討を行なう必要のある構造計算が不足している。
床、小梁、片持部材、屋根葺材、階段、横補剛材、斜材、柱脚、保有耐力接合等
(3) 折板屋根の断面性能についての根拠が明示されていない。
(4) 折板屋根の長期時荷重の検討において、低減なしの積雪荷重によって計算されていない。
(5) 柱脚の回転剛性を適切に評価した検討がなされていない。
ブレース構造の露出柱脚とした場合においても、固定度を考慮しての柱脚、ベースプレート等の検討をお願いしています。
技術基準解説書P597、P598 、ICBA 構造関係基準に関するQ&A NO.49に掲載(外部リンク:財団法人建築行政情報センター)(外部サイト)
(6) 露出型柱脚の面外曲げを受けるベースプレート板厚の設計において、短期許容応力度がF値を 超えている。
ICBA 構造関係基準に関するQ&A NO.92に掲載(外部リンク:財団法人建築行政情報センター)(外部サイト)
(7) 片持ち部材を支持する梁材について、ねじれ応力に対する検討がなされていない。
3-4 本体計算
(1) 構造計算のモデル化が図面と異なっている。
構造計算のモデル化と図面の架構が異なる場合、発生する付加応力による検討がなされていない。
(2) ブレースが取り付く梁の検討において、ブレースによる軸力を考慮した検討をがなされていない。
(3) 階高及び構造階高が図面と不整合となっている。
(4) 応力図、検定比図で、値の重なりがある部分の確認ができない。
応力図の値を用いて別途安全を検討している場合、応力値が確認できない場合、詳細な応力図を求めます。
(5) EXP・Jを設ける場合の建物間の寸法の根拠が不明確。
(6) 一貫構造計算プログラムの終了メッセージに関する所見の記載がない。 またその検討がなされていない。
3-5 基礎・杭
(1) 地盤調査報告書等、基礎の設計根拠となる資料が添付されていない。
敷地内の調査資料を原則とします。やむを得ず近隣の資料を参考とする場合には、準用できることの根拠を明示してください。
(2) 地耐力の算定において、地下水位が高いにもかかわらずその配慮がなされていない。
土の重量については、水中単位体積重量を考慮し算出してください。
(3) 杭の支持力算定において、平均N値の算出根拠が明示されていない。
柱状図に記載されているN値からの算出過程を明記してください。
(4) 一貫計算書との軸力値の整合がとれていない。
整合の確認をしていただくとともに、その根拠ページの明記もお願いします。
(5) 基礎に浮上がりが生じている場合において、その対応に関する検討がない。
(6) 杭頭曲げモーメントの算出が適切に行われていない。
杭頭から基礎梁芯までの距離及び杭頭に生じる水平力等、応力算出根拠を明記してください。
(7) 杭頭補強筋についての検討がない。
(8) 地盤改良の検討書が添付されていない。
改良地盤及びその下部地盤についても検討が必要となります。
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