新潟市「にいがた2km×8区連携」ビジネスモデル創出事業
最終更新日:2023年3月9日
本事業では、「にいがた2km」に立地する万代島をフィールドに、最新デジタル技術を利用した“ちょっとミライのニイガタ”での、食のサプライチェーンの実現に向けた実証を行います。
新潟市の強みである「食」と「農業」と「水産」の価値を高め、市全域(にいがた2km×8区)への波及効果と、田園と都市のコラボレーションによる新たな魅力を創造し、SDGsの目標達成を目指します。
背景
新潟市は、令和4年5月に、内閣府より地方創生SDGsの達成に向け優れた取組を提案する自治体として、「SDGs未来都市」に選定されました。さらに、本市提案の「将来に向けた持続可能な食と農の創出プロジェクト」が、特に先導的な取組として「自治体SDGsモデル事業」にも選定されました。
また、本市の都心のまちづくり【「にいがた2km」の覚醒】では、基本方針の一つに、「都心と8区の魅力・強みのコラボレーションによる新たな価値の創造」を掲げ、都心と田園が調和する本市の魅力発信と、異業種間の協業・変革を図る次世代に向けたまちづくりに取り組んでいます。
こうした取組を相互に連動させながら効果的に推し進めていくため、デジタル技術を活用しながら、「にいがた2km×8区連携」により、本市の強みである「食」と「農」の価値を高める新たなビジネスモデルを創出します。
事業概要
「にいがた2km」エリアにおいて、フードサプライチェーンの「作る」、「運ぶ」、「売る」、「知る・学ぶ」の各領域においてデジタルや先進技術を用いたビジネスモデル実証を実施します。各テーマの概要と実施体制は以下のとおりです。
作る
水産資源の供給維持、省人化養殖技術の確立を目的として、高効率風力発電機、IoT管理等による次世代小規模陸上養殖技術の開発を行います。
養殖対象はアワビとし、養殖槽で水耕栽培を行うアクアポニックスや、近隣産直市場等で発生した野菜くずの飼料化による循環型社会への貢献についても検証します。
運ぶ
輸送における温室効果ガスの排出や、需要に対するトラックドライバー不足を背景にドローンによる輸送が注目を浴びています。
8区から「にいがた2km」エリアに向けて、ドローンを実際に飛行させ輸送代替の可能性について検証します。
売る
エリア内に立地する産直市場(ピカリ産直市場 お冨さん)を対象にバーチャル店舗化し、データの連携等による産直市場ならではの選ぶ楽しみを実店舗同様に感じることができる販売促進の仕掛けや、これまで来店に至らなかった消費者に向けた情報発信によって、地産食材の新たな需要喚起、店舗側の売上向上の方策について実証を行います。
知る・学ぶ
エリア内を対象にして新潟市や本事業等に関係するARコンテンツを設置することで、本実証やにいがた2km、新潟市のSDGs関連の取組みなどのPRやアクセスハブとしての機能の実証を行います。
当該実証を経て、成功事例を生み出し、郊外や県内他都市、さらには国内各地への波及につながるモデル事業を目指します。
ドローン配送実証実験の実施結果について
令和5年3月4日(土曜)に、ドローンによる農産物配送実証を実施しました。
事業概要
本事業は、本市が内閣府より「自治体SDGsモデル事業」に採択された「将来に向けた持続可能な食と農の創出プロジェクト」として、新潟市が進める都心のまちづくり「にいがた2km」におけるデジタル技術を活用し、本市の強みである「食」と「農」の価値を高める新たなビジネスモデルを創出するものです。
そのうち、輸送における温室効果ガスの低減など物流課題の解決策として、ドローンでサプライチェーンをつなぎ、郊外から都心部まで農産物を輸送する実証を行うものです。
また、本市ではこれまでもドローンによる都市部ビジネスの実現に向けて取り組んでおり、国内初の都市部におけるドローンデリバリー実証の実施や、一定期間ではありますが、一般利用者向けのドローンフードデリバリーの営業実証など様々な実証支援を行ってきました。
そうした取組の中で、更なる都市部におけるドローンビジネスの可能性の拡大を目指し、各種交通橋梁の上空通過の実現に向け取り組むものです。
本事業の特徴
郊外から都心部までの輸送ルートとして、地上の第三者への影響を極力少なくするため、信濃川上の河川ルートを選定し、郊外の新潟ふるさと村第2駐車場(新潟市西区)から都心部にある「ピアbandai」(新潟市中央区)までを実証ルートとしました。
ただし、この区間には、上越新幹線、高速道路、国道バイパスなど主要な交通インフラの橋梁が多数存在することから、各管理者と綿密に実施に向けた調整を行いました。
また、安全に飛行させることを第一として、ドローンの遠隔操縦パイロットが常に機体カメラから地上及び周囲を監視し、各橋梁の手前では自動で一時停止をさせて安全を確認する飛行計画を設定し、緊急時の着陸場所も設定しました。
さらに、各施設箇所に地上監視要員を配置したほか、補助パイロットが追従船から常に目視で確認するとともに、着陸地点にも補助パイロットを配置し、緊急時でも迅速に対応できる体制としました。
実証経過
- 令和5年3月4日(土曜)午前11時30分離陸、続いて北陸自動車道・ときめき橋、上越新幹線橋梁、国道8号線(新潟バイパス)・新潟大橋を安全確認し、通過
- 午前11時38分、国道116号線・平成大橋の手前で通信不具合(通信途絶)発生、上空待機のまま回復を待つが電源消費を考慮し、船上パイロットからの操縦に切替え
- 午前11時50分、船上パイロットが接岸上陸。設定されていた緊急着陸地点である信濃川河川遊歩道へ車両・通行人等の不在を確認のうえ着陸し、機体を回収
- 再離陸によるピアbandaiへの運送実証の再開は、バッテリー残量から中止と判断
実証結果
都市部におけるドローンビジネスの拡大の可能性を探るための河川上橋梁の連続通過としては、国内初となる新幹線上空の通過をはじめ、事例の少ない高速道路上空、交通量の多い国道バイパス上空において、安全確保のうえで一連のルートを通過する実証が実現できました。
しかしながら、通信不具合が発生したため、追従していた補助パイロットによって、安全な場所へ着陸させることとし、目的地まで飛行できなかったことから都市部での遠隔操作による長距離輸送については、課題があることを確認しました。
今後の対策
通信不具合の原因究明とその課題解決については、技術面だけでなく電波監理の観点など運用面での検討も必要とされるが、本市上空での要因によるものかなど多方面からの検証が必要と考えます。
また、通信不具合後の飛行再開などドローンの機能面での検討など、関係者を加えての検証も必要と考えます。
これらの改善・解決策が講じられない限りは、都市部での遠隔操作によるドローン実証の再開は実施しないものとし、目視内による都市部のドローン実証については、今回の事象に該当しないことから継続して支援するものとします。
PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。