新潟市内企業のDX事例「株式会社トップライズ ~測量や空撮業務にドローンとAIを活用、人員削減とデータ分析を容易に~」

最終更新日:2023年6月21日

新潟市内企業のデジタル化による業務効率化や新事業創出などDX推進事例をご紹介します。身近な市内企業におけるDXの取り組みの過程や結果、人材育成や組織づくりなどの事例を自社の取り組みにお役立てください。
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株式会社トップライズ

新潟市秋葉区の建設土木コンサルタント業「株式会社トップライズ」は、従来の建設土木における測量や作業をドローンやデジタル機器によって削減するとともに、ドローンを活用し土木以外の分野での展開を進めています。デジタルを活用することで、新事業のアイデアが生まれてくる事例です。

  • 取材した方 株式会社トップライズ 代表取締役社長 大滝充司様、同社営業本部マネージャー 渡邉卓巳様、株式会社スカイフォトサービス 廣島美和子様
  • 取材日 2023年1月26日

企業概要と強みをお聞かせください。

〈大滝〉 土木建築サービス業というジャンルの中で総合建設コ ンサルタントという事業を行っています。「現場のわかる建設コンサルタント」が弊社の強みです。業界では設計、測量、物を作る建設業に大別するのですが、今までのコンサル業は、設計はできるけれど、現場の仮設工事や本設の最終形までのプロセスがわからないということが多かったのです。私は今まで建設業をやってきましたから、その現場のことを理解して設計や測量の調査に反映できる建設コンサルタントを目指してきました。今でもその志を踏襲しながら続けていることが弊社の強みとなっています。

DXの取り組みを始めるきっかけはなんですか

〈大滝〉 建設業の現場はリアルタイムにニーズが発生します。それに対応するためには、多くの様々なことをこなさなければなりません。お客様への対応をしっかりしながら、経営ですから採算性も必要になってきます。そのためには効率化を社内で図るとともに、お客様にも利益が出るように、早く安く良いものを提供していく必要があります。そこで、課題を解消するために平成18年、3Dレーザースキャナーを導入しました。これがデジタル化の始まりです。

当時、デジタル化するときに社員さんの抵抗などありませんでしたか

〈大滝〉 社是で創意工夫と掲げていますが、本当にそれでできるんですか?と社内コンセンサスがなかなか受け入れられなかったですね。新しいことに挑戦するのだから「とにかくやってみよう」と進めました。そして、若手に取り組ませたところ、スムーズにやれたので抵抗も少なくなりました。

社員の皆さんにどのようにお話しされたのですか

〈大滝〉 デジタル化を進める機械やソフトウェアを使うことは何もかも初めてのことですし、高額でもあるので、社員にも原価の意識、なんのためにデジタル化するのかという目的意識、お客様にとって役立つものなのだという信念を持って、取り組んでいこうと話しました。
 我々がやっているデジタル化の中心が 3 次元です。従来の平面図とか断面図、縦断図は、いわゆる専門の人しか見れない図面になっていました。しかし、現在はパソコンの画面で 3 次元立体として動画、アニメとして見れますから、完成形という結果を見ながら図面を引いていくことができます。そうなると、設計作業をするハードルは低くなって、採用も専門家でなくとも異業種の人でも採用するようになってきました。

デジタル機器の導入で現場の働き方はどのように変化しましたか

〈渡邉〉 私がトップライズに入社した平成16年に、新潟県で大きな水害と地震の災害があり、日々災害の対応に明け暮れていました。当時は、一般的な測量機器を使い毎日測量をして、図面を描く作業でした。災害の現場では日々土砂崩れが発生するので、もう毎日毎日、同じ測量をやっていました。そのなかで、18年前に測量の無駄をなくそうと三次元の測量機器を導入し、二次元の測量から三次元の測量へと切り替えました。すると、1か月かけて測量をやっていたことが1週間程度に、1週間かかっていた測量が1日で終わるほど時間短縮できるようになりました。
 また、ドローンによる測量技術を導入すると1週間程度現場でかかっていた作業が1日で終わる作業量の短縮となりました。
 更に、最近では背負って計測できるウェアラブル型の三次元デジタル機器を導入しましたが精度を確保でき、ドローンで1日かかってた現場が、1、2時間で終わっています。
 顧客満足度からみても、作業時間の短縮は非常に高い評価をいただいています。込み合っているような建築の現場でも非常に高い精度で計測できるので、そのデジタル機器に転換を進めています。
デジタル機器を使いこなすまで失敗や苦労もありましたが、現在では当たり前のように使いこなしています。デジタル化で働き方がずいぶん変わってきました。もう昔には戻れませんね。

ドローンはどのようなメリットがあるのですか

〈廣島〉 私はスカイフォトサービスというトップライズの関連会社でドローンスクールの講師やドローン事業に関わる全般的な業務を行っています。
 創業当時はラジコンヘリやヘリコプターの空撮から始まりましたが、時代の変化と共にドローンを取り入れ、測量や空撮業務を行うドローンに特化した会社です。ドローンは大きなヘリコプターと違って、手軽に扱えますし、操縦もそんなに難しいものではありません。初めて触る人も習得が容易で、簡単に操縦できます。
 従来、測量では人が三脚を立てて、いろいろなところに移動しながら測量する方法でしたがドローンは自動で測量する経路を飛行して測量できます。人の労力を大幅に削減できるということ、そして取得したデータを専用のソフトにかけて解析するという作業も簡単にできるメリットがありますね。

今後ドローンをどのようなことに活用していくのですか

〈廣島〉 これからは、地域貢献や調査研究が次のステップになると考えています。新潟大学、新潟県とトップライズ、スカイフォトサービス4者で共同研究をしているのが鳥獣被害対策です。熊や猪の出没により、住民への危険や農作物への被害がありますので鳥獣の出没の調査をしています。上空からはドローン、地上からは猟友会の方と連携して、熊の生息の調査や追い払いについて共同研究をしています。
 また、新潟薬科大学とドローンを使って空中にある病原菌の調査を共同研究しています。ドローンに特殊なフィルターを装着し、採取できるようなウイルスがあるかどうかを研究しているところです。
 もう一つ、地域貢献ということで、上越市、村上市と災害時の応援協定を締結しています。昨年8月に起こった村上市の豪雨災害でも要請があり、弊社のパイロットが出動して、ドローンの映像を遠隔地にある村上市役所の災害本部にリアルタイムで配信して、指示を仰ぎながら撮影を続けました。

今後の経営で目指すこと、変革していきたいことはありますか

〈大滝〉 デジタル化の技術向上が非常に目覚ましいので、我が社もそこに乗り遅れないようにしたいと思っています。むしろ先を見据えて、そのデジタルを複合的に活用し、様々なニーズに対応していくことを考えています。ドローンの活用はすでにやっていますがそこにAIとかデジタル化技術を使った応用編ですね。
1ヶ月の作業が数日で終わり、その後の分析業務もデジタル化で簡単になったということですね。取材させていただき、ありがとうございました。
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