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市報にいがた 令和3年10月17日 2753号 1面・2面

最終更新日:2021年10月17日

あなたと大切な人の「もしものとき」のために

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 命に関わる大きな病気やけがなど「もしものとき」に望む医療やケアについて前もって考え、話し合い、共有する取り組みを「ACP(エーシーピー)(アドバンス・ケア・プランニング)」といいます。
 今号では、ACPについて詳しく取り上げます。

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問い合わせ 地域医療推進課(電話:025-212-8018)

ACP(エーシーピー)で人生の最期を自分らしく

廣瀬 保夫さん
新潟市民病院 救命救急・循環器病・脳卒中センター センター長
廣瀬 保夫さん

本人の希望と実際の医療のミスマッチ

 最近、「苦痛を伴う治療はしたくない」、「なるべく入院はせず、できるだけ長く自宅で過ごしたい」など、病院や医師任せではなく自分が希望する医療を受けたいと考える人が増えているように感じられます。
 医師としては患者さんの意向を最大限尊重したいと考えていますが、生命の危機が差し迫った救急医療の現場では、約7割の人が医療やケアの方針を自分で決めることが難しい状況になるといわれています。その場合、家族や医師の主導で治療方針を決定せざるを得ず、結果的に患者本人の希望通りの医療が実現しない可能性が高くなってしまいます。

新潟市医療に関する意識調査のグラフ

元気な頃から話し合うことが大切

 このような状況を避けるためには、自分に「もしものこと」が起きたときに受けたい・受けたくない医療や介護などについて、元気な頃から事前に考え、家族や大切な人と話し合い、お互いの思いを共有しておくことが重要です。この考え方を「ACP」といいます。
 ACPは決して誰かに強制されて行うものではありません。また、「もしものとき」について考えることは必ずしも楽しいことではないかもしれません。しかし、誰もが年を取り、命に関わる病気やけがをする可能性があります。いつか必ず来る最期を見据え、「どんな医療やケアを受けたいか」、「自分で意思決定できなくなったら誰に委ねるか」などを考えておくことは、自分の希望に沿った生活を送るためにとても大切なことです。さらに、一度決めたらそのままにしておくのではなく、心身の状態に応じて繰り返し考え、周りの人とコミュニケーションを取ることも大事です。
 人生の最終段階をより自分らしいものにするために、ACPについて考えてみませんか。

考えてみよう これからのこと

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 今後の人生を豊かに自分らしく過ごすため、左のチェックシートを使って考えてみましょう。

チェックシートの使い方

  • 気持ちが落ち着いているときにじっくりと時間をかけて考え、家族や大切な人と話し合いながら記入しましょう。
  • 誰と話し合えばいいか分からない場合は、住んでいる地域の地域包括支援センターや民生委員に相談しましょう。
  • 話し合った結果は、かかりつけ医やケアマネジャーなど医療・ケア関係者と共有しましょう。
  • 「今はまだ考えたくない」、「知りたくない」という人は、無理に考えたり話したりする必要はありません。
  • 一度決めたら変えられないものではありません。気持ちが変わったら、何度も繰り返し話し合いましょう。

チェックシート

「もしもシート」を活用しませんか

もしもシート

 市民の皆さんがACPに取り組むきっかけとなるよう、「もしもシート」を作成しました。家族や大切な人と一緒に活用してみませんか。 ※同シートは区役所健康福祉課、地域保健福祉センター、地域包括支援センターで配布。新潟市ホームページにも掲載

妻とACPに取り組み、自宅で穏やかな最期を迎える

小川 英爾(えいじ) さん
小川 英爾(えいじ) さん(西蒲区在住)

 もともと妻とは普段からお互いの「もしものとき」について話をしていました。3年前、妻にがんの転移が発覚したことをきっかけに、今後の過ごし方について改めて二人で話し合いました。妻は「最期の時は自宅で迎えたい」と希望しており、主治医や訪問医のアドバイスと協力を得て、これまで通り自宅で生活しながら療養を続けることにしました。娘たちとは治療方針で意見が食い違うこともありましたが、最後は妻の思いを尊重し、私たちの決断を受け入れてくれました。
 療養中、一時的な入院は何度かあったものの、住み慣れた自宅で家族そろって気兼ねなく生活することができました。体調に変化があればすぐに訪問医に対応していただける体制が整っていたので、安心して過ごせました。妻の調子が良い時には国内外へ何度も家族旅行に出掛けるなど、限られた時間を充実して送ることができました。
 妻は亡くなる前日まで自宅で普段通りに過ごし、昨年10月、穏やかに眠るように息を引き取りました。寂しいですが、残された人生にきちんと向き合って準備をしたことで、私たち二人にとって後悔のない理想的な最期を迎えることができたと思っています。

小川さんと妻のなぎささん
小川さんと妻のなぎささん(左)(2019年5月、旅行先の韓国にて)

ACPについて一緒に考える オンライン講座を開催

 新潟市の地域医療を支える医師が、ACPについて経験談を交えながら分かりやすく説明します。 ※オンライン形式で実施

期日・講師 12月4日(土曜)…下畑光輝(みつてる)さん(信楽園病院)
12月18日(土曜)…坪野俊広(としひろ)さん(済生会新潟病院)
時間 午後2時半から午後4時
場所 総合保健医療センター(中央区紫竹山3)
定員 各日先着80人 ※「Zoom(ズーム)」により自宅などでも受講可(各日先着200人)
参加費 無料
申し込み 10月21日(木曜)から新潟市ホームページで申し込み ※会場で受講する場合は市役所コールセンター(電話:025-243-4894)でも申し込み可

過去の講座の様子
過去の講座の様子

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