市報にいがた 令和4年3月6日 2762号 1面から3面
最終更新日:2022年3月6日
地域とともにある学校へ コミュニティ・スクール
今号では、地域と学校が関わり合う「コミュニティ・スクール」の仕組みや、モデル校の取り組みなどを紹介します。
問い合わせ 教育総務課(電話:025-226-3177)
市長より
少子超高齢化や人口減少、ICT化など、変化が激しい時代を迎え、子どもを取り巻く環境や学校が抱える課題は複雑化・多様化しています。子どもたちがこれからの社会をたくましく生き抜くには、自らの学びを生かし、他者と協力し合いながら、目標に向かってさまざまなことに挑戦し続ける力が必要です。
新潟市では、未来を担う子どもたちの豊かな成長を「地域総がかり」で支えるコミュニティ・スクール制度が、令和4年度から全ての市立小・中学校、中等教育学校、特別支援学校で導入されます。各校に新たに設置される「学校運営協議会」で、子どもたちに必要な能力や活動について保護者と地域、学校が一緒になって知恵を出し合い、学校運営の方針を決めていきます。
地域と学校の協働体制が今まで以上に発展し、お互いが支え合い、共に成長・活性化していく「地域とともにある学校」の実現を、みんなで目指していきましょう。
新潟市長
コミュニティ・スクールの仕組み
Q コミュニティ・スクールとは?
A 保護者や地域の代表、教職員などで組織する「学校運営協議会」が設置された学校のことです。地域と学校が一体となって子どもたちの成長を支えます。
Q 学校運営協議会とは?
A 「地域の子どもたちにどう育ってほしいか」を話し合う場です。教育の目的などを共有し、子どもたちに必要な支援や教育活動の質の向上などについて、地域と学校が当事者意識を持って一緒に考えます。
Q 期待されることは?
A
- 地域と学校が協働で行う活動の目的を改めて明確化することで、活動がさらに改善、進展します。
- 社会の課題や地域のニーズに合わせた教育が行われます。
- 地域の新たな教育資源の発掘や子どもたちの地域への愛着、地域の担い手としての意識づくりにつながります。
学校運営協議会で地域と学校がひとつに
地域の声
葛塚東小学校・葛塚中学校
学校運営協議会
会長 五十嵐 隆吉(いからし りゅうきち) さん
子ども・地域の目指す姿を共有
令和2年度からモデル校としてコミュニティ・スクールを導入し、小・中学校一緒の学校運営協議会を設置しています。協議会では目指すべき「子どもの姿」「地域の姿」を保護者や地域、学校が共有し、目標を達成するためにどんな活動ができるかを話し合っています。
子どもの意見を大切に
また、地域と学校が協力して行う活動などについて協議会のメンバーと小・中学生が意見交換をする「子ども・地域を語る会」を開催しています。大人が思い付かないアイデアを出してくれるので、子どもたちの意見はとても貴重です。
話し合いをするたび、子どもたちは地域のことをよく見ていると感じます。大人も子どもも同じコミュニティーの一員として、これからも良い信頼関係を築いていきたいです。
子どもは地域の宝
地域と学校が一体となり、子どもが地域活動に参加する機会が増えることで、担い手が不足している活動の活性化にもつながると考えています。
子どもは「地域の宝」です。その宝を、地域も保護者や学校と同じ思いで育てていきたいと思います。
トライアングルプロジェクト 葛塚東小学校・葛塚中学校 モデル校の取り組み
葛塚中学校
上村(かみむら) 慎吾 教諭
きっかけは地域の思いから
北区の福島潟では、毎年9月に約1万本のろうそくをともすイベント「雁迎灯」が行われ、当校の生徒たちも参加していました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、この3年間は開催されませんでした。
そこで、「伝統を後世につなぐために、子どもと一緒に活動をしたい」という地域の方の提案をきっかけに、代替イベントとして昨年10月に校舎の屋上からランタンを打ち上げる「トライアングルプロジェクト」を行いました。
それぞれができることで協力
具体的な活動内容は、地域や学校、生徒がそれぞれの立場からアイデアを出し合って決めました。地域の方は関係団体へ支援の呼び掛けを、学校は小・中学校の連携を、生徒は打ち合わせの司会や取りまとめを担いました。当日は生徒や児童、保護者、地域住民、関係者が参加し、400個のランタンを作って打ち上げました。
豊栄ロータリークラブにも協力していただき、イベントの様子をドローンで撮影し、動画を配信しました。
学校だけではできない経験を
生徒たちは、プロジェクトの主体として大人と対等な立場で話し合いに参加し、準備や運営に携わったことで、他者と関わり合う力を高めることができました。
これからも、大人と協力して地域の課題を解決するという学校だけではできない経験をしながら、生徒たちの学びや地域への愛着が深まっていくと考えています。
同プロジェクトの動画を動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開しています。
活動の様子
9月中旬
プロジェクト名決定
「明るさ・笑顔・伝統をつなぐ」という思いを込めて「トライアングルプロジェクト」と名付けました。
打ち合わせ
地域の人たちとプロジェクトの目的を共有し、どのように活動を進めるか計画を立てました。
10月15日午後3時ごろ
ランタン製作
ランタンには、未来の地域への願いなどを書いた短冊を貼りました。
10月15日午後6時ごろ
打ち上げ
夜空に浮かぶスカイランタンに参加者は感動の声を上げていました。
児童・生徒の声
葛塚中学校2年生
滝澤 諒(りょう) さん
子どもと大人が壁を感じずに話し合えたことが印象に残っています。さまざまな目線の意見が聞けて良い経験になり、楽しかったです。
葛塚中学校2年生
小栁 風月(こやなぎ ふづき) さん
地域の人や小学生と積極的に意見を交わして、プロジェクトを成功させることができました。これからもたくさん意見を交換していきたいです。
葛塚東小学校6年生
山熊 希花(ののか) さん
ランタンを打ち上げた時に、みんなの気持ちが1つになったことが印象的でした。みんなを笑顔にできるような活動に、また参加したいです。
葛塚東小学校6年生
佐藤 太郎 さん
活動後は、地域の人たちとおしゃべりをする機会が増えました。いろいろな人と話をすることが好きなので、これからも地域の活動に参加したいです。
保護者の声
葛塚中学校 PTA会長
長谷川 雅朗(まさあき) さん
子どもたちの笑顔が一番
コロナ禍で子どもたちの行事の中止や延期が相次ぐ中、思い出に残るイベントができて本当に良かったです。PTAは当日、ランタンにヘリウムガスを注入するなどの協力をしました。打ち上げの瞬間に子どもたちの笑顔を見られたことが、何よりもうれしかったです。
地域に合った学校づくりを
学校運営協議会の良さは、学校運営に保護者や地域の人が参加できるところだと思っています。これまでは学校が決めた運営方針を伝えられるだけでしたが、今は運営方針を検討する段階でそれぞれの立場から意見を交わし、地域に合った学校づくりができるようになりました。
今後、地域の皆さんが気軽に学校に来ることができるようになれば、地域で子どもを育てる機運がさらに高まると思います。コミュニティ・スクールで地域と学校の連携が深まり、子どもたちが「ここで育って良かった」と思えるような地域づくりにつながることを期待しています。
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