(6-12)違法建築に対する不適切な指導

最終更新日:2025年1月6日

(6-12)違法建築に対する不適切な指導

令和6年10月10日苦情申立書受理

申立ての趣旨(要約)

 隣家の違法な増築に対し家主に抗議をしてもらちが明かず、市の建築行政課に指導のお願いをしましたが改善は見られませんでした。
 今年の能登半島地震以降、防災への意識の高まりもあり、再度建築行政課に指導監督を要請したところ、増築した3階部分だけは撤去に至りました。
 隣家の増築は家主が行っており、敷地いっぱいに建物を増築した結果、降雪時には屋根の雪が我が家の敷地内に落ちてきます。また、建築強度も耐震強度も無く、強度不足による倒壊や火災時の延焼の可能性は大きいと思われます。隣家には苦情を言ってきましたが、それよりも新潟市の生ぬるい対応には怒りを覚えます。
 重大な実害が発生する前に、防災減災の観点からも新潟市には適正な指導監督を強く要望します。

所管部署

建築部建築行政課(以下「所管課」という。)

調査の結果の要旨

令和6年12月27日決定

 申立人の主張及び所管課の説明と所管課から提出のあった資料に基づき、当審査会では以下のとおり判断し調査結果とします。

第1 事実経過
本件の事実経過は次のとおりです。
(1)令和5年2月1日、申立人が所管課に対し、隣家から「雪やツララが我が家の車庫に落ちてきて困っている。また、隣の家は基礎も打たずに主人が自ら増設を重ねたもので、極めて危険な状態であり指導をしてほしい」旨のメールを送る。
(2)同年2月3日、所管課が申立人に対し、違反建築物に関しては調査を行うこと、屋根からの落雪については建築基準法で規制することができないため、当事者同士で解決して頂くものとの趣旨をメールにて回答した。
(3)同年2月8日、所管課が現地確認を実施した結果、申立人が主張する建築物(一部3階建て)を確認した。なお、屋根からの落雪については近隣との当事者同士の話し合いにより改善する可能性もあるため経過観察とした。
(4)令和6年1月9日、申立人が所管課に対し「以前通報した隣家の状況が改善されないため、再度指導をしてほしい」旨のメールを送る。所管課は、近隣住民間での協議により改善されていないため、指導助言に向けて進めることとした。
(5)同年1月10日、申立人が「市長への手紙」を送る。内容は前記(4)1月9日のメールと同旨のものであった。
(6)同年1月19日、所管課が申立人から提出された市長への手紙に対し回答を行った。回答内容は、建築確認申請がなされないなどにより、法令に適合しない又はその疑いのある建築物を把握した場合、所有者等に対し是正指導を行っている。情報提供をいただいた建築物についても引き続き対応を進めて行く。なお、指導状況に関する情報については第三者に開示することができない旨の回答であった。
(7)同年11月8日、所管課が現地確認を実施した結果、3階建て部分が除却されていることを確認した。この間及びこの後においても所管課は、本件隣家の建築主に対し所要の対応を行ってきた。

第2 審査会の判断
1 申立人の苦情内容は、隣家の家主が違法な増築(建築強度も耐震強度も無く、強度不足による倒壊や火災時の延焼の可能性は大きいと思われる)をしているところ、新潟市の建築行政課に指導を求めたが改善は見られないこと、隣家の家主が敷地いっぱいに建物を増築した結果、降雪時には屋根の雪が我が家の敷地内に落ちてくることについて、新潟市の生ぬるい対応には怒りを覚えるという内容です。
2 これに対する所管課の回答の概要は次のとおりです。
 申立人からの通報により、本件隣家に対する所要の対応は行っているが、その内容等詳細について申立人に開示することができないことは、これまでもメールに記載するなどの方法により申立人に伝えてきた。
 なお、一般的に建築物の違反の有無は外観だけで判別できるものではなく、個別の建築物の詳細(図面等)を把握するなどしなければ違反の有無は容易に確認できない。違反の疑いがある情報提供があった場合、建築確認申請の履歴などを確認した上で、建築確認申請がなされていない等、明らかな手続き違反があるものは、建築主に対して当該建築物において違反の疑いがあることを通知した上で、当該建築物の構造など実態的な報告を求め、それにより違反の有無を確認する。建築主等の建築確認申請の手続きに関する認識不足などによる建築確認の手続きを行わない「手続違反」はあるが、手続違反以外の建築基準法違反の実態が確認されない場合、建物として改善を要する内容が無いため、その場合は建物の改善の指導や命令は実施しない。手続違反があった場合、建築物が存在し続ける限りは違反建築物があるという事実は改善されないが、改善すべき実態違反が無ければ建築物の使用は可能と考えられる。建築物は個人の財産であるため、違反建築物の改善に向けた対応も建築主により行われなければならず、改善までに相当の時間を要することが多い。そのため、建築主に粘り強く改善を働きかけるなどの対応を行っている。
 また、建築主への指導状況を始め建築主からの建築基準法上の報告内容等は、個人情報に該当するため、情報公開請求等の正当な理由がなければ、申立人ら第三者に開示することはできない。
3 当審査会の判断は次のとおりです。
まず、一般的に、所管課では、建築基準法違反の建築物の所有者等に対する指導にあたり、建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)に基づき、「新潟市違反建築物是正指導業務マニュアル(以下「是正指導マニュアル」という。)」の業務フローにより、違反建築物等への指導を行っています。また、建築基準法上の違反の有無は、建築基準法及び建築基準関係規定により確認しています。
 本件で、所管課は、申立人からの情報提供を受けた後、是正指導マニュアルの業務フローに沿って、本件隣家の建築計画概要書の確認や隣家建築主からの事情聴取等を行い、建築基準法違反の有無について確認作業を実施している状況です。
 このように、本件所管課は、申立人からの情報提供を受けた後、建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)に基づく是正指導マニュアルの業務フローにより、本件隣家建築主に対して建築基準法及び建築基準関係規定により建築基準法上の違反の有無を確認しており、以上につき制度上の不備や業務上の過誤、不作為等は認められません。
 なお、申立人が苦情で述べている降雪時の落雪の問題は、民事上の相隣関係の問題であって、所管課は同問題に関与できる立場にはありません。また、本件隣家建築主への指導状況の詳細や建築主からの建築基準法上の報告内容等は、個人情報に該当するため、情報公開請求等の正当な理由がなければ、申立人ら第三者に開示することはできないとの所管課の説明はもっともであり、この点でも所管課の業務遂行に過誤等はありません。
 以上、調査の結果、当審査会は、本申立てについて、新潟市行政苦情審査会規則第16条第1項に基づく市長への意見表明ないし提言をする必要性はないものと判断致します。
                                                              
規則第16条第1項
 審査会は、苦情等の調査の結果、必要があると認める場合は、市長等に対し、当該苦情等に係る市の業務について、是正その他の改善措置(以下「是正等」という。)を講ずるよう意見を表明し、又は制度の改善を求める提言をすることができる。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで